WTO副局長、「ブロックチェーン技術の貿易応用に規制の枠組みが必要」

WTO副局長、「ブロックチェーン技術の貿易応用に規制の枠組みが必要」

WTO(世界貿易機関)の副局長であるYi Xiaozhun氏は、貿易におけるブロックチェーン技術導入のためにグローバルな規制や枠組みの確立が必要であると見解を示した。先日、WTOがジュネーブにて主催した「the Global Trade and Blockchain Forum」の開会の辞にてXiaozhun氏が述べた。

また、WTOが国際商工会議所およびTrade Finance Globalと共同で制作した、貿易におけるブロックチェーンに関する出版物のリリースについても合わせて発表している。

「変革にはテクノロジー以上のものが必要」

Xiaozhun氏によれば、この制作にあたって200人以上の関係者にリサーチを行ったとのこと。出版物の中では、ここで浮き彫りとなった国際貿易における企業が直面している課題について、議論が行われている。

また、リサーチによって貿易に関連したブロックチェーンプロジェクトの成熟度も判明したと述べており、多くのプロジェクトがパイロット(試験運用)と生産性向上に繋がる実稼働の境目にいると見解を示した。Xiaozhun氏はテクノロジーの進歩によって、貿易を取り巻く状況は急速に変化していると指摘した。

「現在、数多くのプロジェクトが貿易の効率性を高め、透明性を向上させようとしています。これは素晴らしいことでしょう。しかし、これだけで本当に十分なのでしょうか。テクノロジーは単なるツールでしかありません。グローバルな貿易の変革を望むのであれば、テクノロジー以上のものが必要となるはずです。」

利害関係者の協議から共通のデータモデルやプロセスを作成すべき

また、Xiaozhun氏は共通の規制や枠組みがないことでシステムの互換性が持てず、ネットワークの断片化が起こっていると企業が直面している課題を指摘。この課題を解決するためにも、利害関係者の間で協議を行い、国家レベルだけでなく国境を超えてもグローバルに共有できるコンテクストの必要性を強調した。

「たとえば、現在開発中のプロジェクトの多くはシステムとネットワークの断片化が発生しています。これは、『デジタルアイランド問題』とよく呼ばれるものです。この問題を解決するには、技術的なソリューション以上のものが必要です。横断可能なデータモデルやプロセスなどを、利害関係者の間で協議し作成する必要があります。」

加えて、ブロックチェーンが貿易にもたらすメリットは大きいとしたうえで、これらのパワーを発展途上国にも与えるべきだと見解を示した。