元CFTC議長、法律事務所でデジタルドルの推進へ
CFTC(米商品先物取引委員会)の元議長であるクリストファー・ジャンカルロ氏は、ニューヨークに拠点を構えている法律事務所「ウィルキーファー&ギャラガー」の上級顧問として加わる予定だ。ジャンカルロ氏は、先日送信された電子メールにて同事務所での取り組みの1つとして、デジタルドルの推進を行っていく意向を示している。
ジャンカルロ氏はオバマ政権時代にCFTCの委員として任命され、2019年7月に5年の任期を終えた。仮想通貨コミュニティの中では「クリプト・パパ」の愛称でも親しまれており、仮想通貨推進派としても有名である。また、ジャンカルロ氏は送信したメールにて、同事務所参加への抱負を次のように語っている。
「私は過去30年に渡り、取引市場、技術、法律が交わるところで、グローバルにビジネスを展開するための枠組みの策定やアドバイスを行ってきました。3つの分野すべてにおいて優れた事務所に参加できることを、非常に嬉しく思う。」
さらに加えて、同事務所の顧客と十分に協力していくだけでなく、公的と私的どちらにおいても公共政策に影響を与える執筆活動を行っていきたいと述べた。また、ジャンカルロ氏が注力したい分野として、ブロックチェーンベースのデジタルドルの開発とLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)をアメリカの貸付ベンチマークに置き換えることの2点を挙げている。
デジタルドルについて今年10月にも言及
ジャンカルロ氏がデジタルドルについて語ったのは、今回が初めてではない。今年の10月にも、デジタルドルの発行を推進すべきであると見解を示している。中国政府の人民元のデジタル化やフェイスブックのリブラの登場を引き合いに出したうえで、米政府が金融市場でリーダーシップを取れなくなる可能性を指摘した。現在、金融市場においては米ドルが基軸通貨となっている。デジタル化を実現できれば、実生活だけでなくビジネスや税制など、さまざまな面でメリットは大きいだろう。
一方で、法定通貨のデジタル化において中国に遅れを取ってしまうことは、ジャンカルロ氏も指摘する通り米国の現在のステータスを脅かしかねない。これについては、フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏も米議会で開かれた公聴会にて似たような見解を示している。ただ、トランプ大統領がこうした意見を聞き入れるかは疑問だ。現在の米ドルの安定性を強調したうえで、ビットコインなどの仮想通貨に対しても「ファンではない」と過去にツイッターで公言している。