CNBチェコ国立銀行がビットコイン準備金の検討を開始
CNB(Czech National Bank:チェコ国立銀行)の理事会は、外貨準備の多様化を目的とした新たな資産クラスの分析を行う提案を承認した。
世界中で注目を集めるビットコイン(Bitcoin/BTC)の存在が、国家準備金における新たな局面を迎えようとしているなか、2025年1月30日(木曜日)付けのプレスリリースによると、CNB理事会は、国際準備金管理戦略の一環として、ビットコインを含む新たな資産クラスの分析を行う提案を承認。これは、CNBが外貨準備ポートフォリオの多様化を目指す取り組みの一環である。ただし、現時点でビットコインを準備金として正式に採用する決定は下されておらず。この承認により、財政政策の在り方についての議論が活発化している。
Czech National Bank’s goal is price stability. When we took office in July 2022, inflation was 17.5%. We brought it down to target. We are also diversifying reserves—gradually increasing gold holdings from 0% to around 5% and planning for 30% in equities. An asset under… https://t.co/Au7fwJVHEU
— Aleš Michl (@MICHLiq_) January 29, 2025
チェコ国立銀行の目標は物価安定です。2022年7月に就任した時のインフレ率は17.5%でした。目標まで下げました。準備金の多様化も進めており、金の保有を0%から5%程度まで徐々に増やし、株式を30%に増やす計画です。検討中の資産は…
CNBの公式声明ではビットコインについて具体的な言及を避けているものの、アレシュ・ミヒル(Aleš Michl)総裁は会議前にその方針を明らかにしており、会合においてビットコインの準備金組み入れの可能性について議論が行われたことが確認されている。大手メディアの報道によると、CNBは70億ドル(約1兆円)近い準備金のうち最大5%をビットコインに充てる可能性を示唆。ただし、これはあくまで検討段階であり、最終決定は今後の分析を経て下される予定だ。
ビットコイン準備金化に対する賛否
同総裁は、ビットコインを準備金に組み込むことで、通貨の多様化と新たな価値の創出が期待できると述べている。
特に、従来の資産と異なる性質を持つビットコインが、長期的に準備金の安定性を高める可能性があると指摘している。また、近年ビットコインの採用が進む国際市場の動向を踏まえ、チェコも金融政策に柔軟性を持たせる必要があると考えられている。さらに、ミヒル総裁は「資産の多様化にはビットコインが良い選択肢になり得る」と述べ、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米国大統領の仮想通貨政策とビットコイン準備計画にも言及している。
一方で、ズビニェク・スタンユラ(Zbynek Stanjura)財務大臣はこの提案に対して強い懸念を示している。「中央銀行は安定の象徴であるべきだ。ビットコインの価格変動を見れば、それが決して安定した資産ではないことは明白だ」と述べ、準備金としての適性に疑問を投げかけている。また、ビットコインやその他の仮想通貨の不安定な性質を強調し、「私は個人的にこの計画に不安を感じている」と発言。政府として金融当局の決定を覆す権限はないものの、慎重な対応を求めている。
チェコの決定がもたらす影響と国際的な反応
この決定は、チェコ国内だけでなく国際金融市場にも影響を与える可能性があるが、ECB(欧州中央銀行)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁は、ビットコインが中央銀行の準備資産として適切ではないとの見解を示しており、今後の動向に影響を与える可能性がある。
ビットコインを準備金に採用することで、他の欧州諸国や新興市場の中央銀行にとって先例となるかもしれない。エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨とし、スイスの一部地域では公的な決済手段として利用されている。こうした事例を踏まえ、チェコの動向が今後の仮想通貨政策にどう影響を及ぼすか注目される。
ミヒル総裁は、今回の承認が直ちにビットコインの購入を意味するものではないと強調。今後数カ月の分析を経て、最終決定が下される見込みだ。なお、準備金の変更が行われる場合、その内容はCNBの四半期報告および年次報告書で開示される。