米ゼネラル・エレクトリックの年金プラン凍結は、ビットコインへの興味を増幅させる
2019年10月7日、世界最大の米国総合電機メーカーゼネラル・エレクトリック(GE)は、米国従業員約2万人の企業年金凍結を発表した。12年前に新規加入の受付は終了しているため、それ以前に加入した2万人が対象となった。他にも従業員約700人の米国補足年金給付も凍結される。
GEの債務削減策
GEの年金制度は2018年末で270億ドル(約2兆9,000億円)不足。GEでは金融事業や電力事業の損失が大きく膨らみ財務状況が悪化しているため、今回の債務削減が行われた。これにより年金基金の積み立て不足分が最大80億ドル(約8,592億円)、純負債は最大で60億ドル(約6,443億円)の純負債圧縮が可能になった。
企業年金は2020年末まで払い込まれ、2021年1月からは停止。払い込み分は退職後に支払われる。まだ受給開始していない元従業員約10万人に対しては、一括して受給する選択肢が用意されている。現在受給している退職者は対象外となるため影響はない。
GEのCEOラリー・カルプ氏は2019年をリセットの年とし、財務再建策を行い、電力事業では従業員の15%1万人をリストラする案を出した。ヘルスケア部門の一部も売却。
ビットコインとの関連性
今回の発表は老後のための年金制度・運用のあり方を改めて考え直す機会になった。「企業年金の支払いが凍結したなら、ビットコインで積み立てれば良いじゃないか」という発想が再認識されたのだ。
米国には401kと呼ばれる確定拠出年金がある。今年9月23日には、ニューヨーク証券取引所の親会社インターコンチネンタル取引所(ICE)が設立したBakktによってビットコイン先物取引が開始した。取引が始まってもビットコイン相場の下落は進んだが、今回の発表の影響で期待感が高まったためか、ビットコインの価格は1BTC=7,907ドルから8,327ドルまで5.3%上昇。頭上の抵抗線を突破できれば上昇トレンドの再開となる。
GEの発表によって、今の若い世代が将来のことを考えてビットコインで年金運用する…といった未来が見えてきたことも意味する。ビットコインの値動きは、金や銀、プラチナと言った資産に似た値動きをしているが、現状をみると高いボラティリティと先行き不透明さからくる不安があるため、金よりも銀やプラチナの値動きに似ている。日本ではまだビットコインで年金運用できないが、ビットコインを暗号「資産」と位置づけるなら、今後対象となる可能性も出てくる。