マネーフォワード、仮想通貨関連事業参入の延期を発表

マネーフォワード、仮想通貨関連事業への参入延期を発表

株式会社マネーフォワードは仮想通貨関連事業への参入を延期する。

4月15日、同社は公式サイトを通して、仮想通貨関連事業の参入延期とその理由などについて公表した。

また、これに伴い、当第1四半期連結会計期間における特別損失として、61,395千円が計上されたこともあきらかとなった。

仮想通貨関連事業については、同社の100%子会社であるマネーフォワードフィナンシャル株式会社によって進められていた。

参入延期について、具体的には、同社がかねてから進めていた仮想通貨取引所の開設に向けた交換業者登録手続きの中止や取引所システム開発の中止、仮想通貨メディア「Onbit」のサービス終了などが挙げられている。

一方で、ブロックチェーン技術の開発を目的とした研究は続けていく意向が示されており、仮想通貨関連事業への参入意欲は失われていない様子が伺える。

参入延期の背景に「仮想通貨に関わる外部環境の変化」あり

同社が仮想通貨関連事業への参入延期を決めた背景としては、当該事業に関わる環境の変化が挙げられている。

同社が仮想通貨事業参入を発表した2018年、仮想通貨市場は低迷期とも言われるほど冷え込んでいた。

この仮想通貨市場の ”冷え込み” が、事業継承に歯止めをかけたようだ。

2018年5月に仮想通貨関連事業へ向け、新会社「マネーフォワードフィナンシャル」の設立を発表。

仮想通貨取引所との連携し、仮想通貨取引を一元管理できるサービス・プラットフォームの提供を目指していた。また、2018年9月には、仮想通貨メディア「Onbit」を開設し、2019年中の仮想通貨取引所開設に向けて力がそそがれていた。

一方で、仮想通貨の価格は軒並み下落。2017年の価格高騰や仮想通貨に対する市場参加者の熱気は冷めていく一方だった。

また、事業体制の整備に関わるコスト増も参入延期を決定した理由に挙げられている。

2018年は仮想通貨の下落だけでなく、いくつかの取引所で仮想通貨流出が問題となった年でもある。

同年1月には、Coincheckから約580億円相当の仮想通貨が流出。また、同年9月には、Zaifから約67億円相当の仮想通貨が流出した。いずれも外部からの不正アクセスにより引き起こされたものとして、大きな話題となった。

また、仮想通貨によるマネーロンダリングについても問題視されており、同年6月に金融庁が仮想通貨交換業者6社に対して業務改善命令を出されたことは記憶に新しい。

2018年は、仮想通貨事業の健全な運営に関わる面での課題や、コンプライアンスに対する課題が浮き彫りになった年でもある。

時代の流れや業界周辺の環境変化に適応してくための体制整備にあたり、収益とコストのバランスをとることが難しい年だったと言えるかもしれない。

ブロックチェーン技術に関する研究は続けていく姿勢を見せていることからも、仮想通貨・ブロックチェーン技術に対する期待感は消えていないだろう。ただ「時期が悪かった」ということなのかもしれない。