匿名通貨の未来/仮想通貨

 

匿名通貨の未来

運営の堀口

おはようごさいます!
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3月16日夜、国内大手取引所コインチェックが匿名性の高い通貨(XMR・DASH・ZEC)の取り扱いを打ち切る方針であることが”時事通信”の記事で明らかになりました。

今回はなぜ匿名通貨が打ち切られたのか、そもそも匿名通貨とはなにかをまとめ、『匿名通貨の未来』を考察していきます。

匿名通貨が懸念される理由

約580億円相当(事件当時)のNEMが盗難され、金融庁の立入検査や2度に渡る業務改善命令が下され、動向が注目されている“元”国内最大手取引所『コインチェック』

振り返ると、事件発覚後の夜に1度目の記者会見を開きました。
記者からの厳しい追及が続き、次第に会見の話題は「なぜNEMがハッキングされたのか?」という本題から逸れ、「なぜ仮想通貨交換業に登録されないのか?」という本案件とは関係無いともとれる質疑応答に変遷しました。

無論、コインチェック側から登録されない理由が語られるはずもなく(本当に知らないのかもしれない)、記者からの質問は過激さを増していきました。

その質問は「交換業に登録されないのは匿名通貨を取り扱っているからではないのか?」という内容でした。

これを機に2度目の記者会見でも匿名通貨の取り扱いに関して、今後の方針を迫られるシーンが度々ありました。

匿名通貨が議題に挙がった理由は、

  1. 資金洗浄(マネーロンダリング)に悪用されるリスクがあること
  2. 匿名通貨を取り扱う国内取引所がコインチェックのみであること

主にはこの2つと考えられます。

金融庁は2017年9月から全ての取引所に対して仮想通貨交換業登録の申請を義務付け、複数の取引所が正式に認められました。
しかし、取引高、利用者数、人気で国内トップを走っていたコインチェックは認可が未だ降りていません。

理由を考えれば、他の取引所と異なる点は“匿名通貨の取り扱い”以外にありません。

この特異点を除けば、コインチェックは安全性、利便性、バラエティ、人気を備えた国内最強の取引所であることは間違いないのです。

事件発覚後、ある元国会議員がSNSで「ビットコインチェック(笑)が認可されない理由は匿名通貨を取り扱っているから」と発言し、色々な意味で話題となりました。

そして物語は進みます。

2度目の業務改善命令が下された後、記者会見を開いたコインチェックは、NEMの補償、一部アルトコインの取引再開を明言しました。
この時、匿名通貨への取り扱いは前向きに検討していくと発言しています。

しかし、現在もNEM・XMR・DASH・ZECの取引及び入出金が停止されたままとなっています。

そして動向が注目されていた矢先、金融庁及びコインチェックから正式な声明が出る前に、今回の記事が発表され、国内から匿名通貨が姿を消すことが決まりました。
取り扱いを打ち切る結果となったのは、世界や国家が背景にあります。

今回の記事で明らかになったことは、コインチェックが”みなし業者”だった理由が匿名通貨を取り扱っていることです。

金融庁が匿名通貨に対して、懸念を抱いているという事実が浮き彫りになりました。
金融庁の登録を受けた仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨のリストは俗に「ホワイトリスト」と呼ばれており、今後、匿名通貨と判断された仮想通貨がホワイトリストに追加される可能性は限りなくゼロになりました。

そして時期やタイミングを考えても、3月19.20日に開催される「G20」の前に、国としての方針を示しておく必要があったからという意図が伺えます。
その「G20」の予定される議題内容にも、「匿名通貨の取り扱い」についてが挙がっているように、もはやコインチェックだけではなく、世界基準での懸念材料となっています。

 

匿名通貨の定義

そもそも、匿名通貨の“匿名”とは何を意味しているか。
巷ではもっぱら、全ての取引が記録され、誰でも閲覧出来るブロックチェーンに対して、匿名通貨を使えば取引の履歴が一切確認出来ないという見解が多いです。

そして前述の懸念される理由として挙げた、資金洗浄(マネーロンダリング)や、麻薬や銃の闇取引に使わているという”捉え方”をされているケースも非常に多いです。
つまり簡単に言うと、“悪いことに使われる仮想通貨”というイメージが根付いています。

確かに、このイメージは完全に間違っているとハッキリ言うことは出来ません。事実、悪用されているケースも中にはあります。

しかし、この犯罪目的と捉えられがちな匿名通貨の“本質”とは全く違うことを意味します。
それはブロックチェーンという、この世界で唯一の”トラストレス”を実現したBitcoinの存在が物語っています。

僕が思う『正しい匿名通貨の定義』はこうです。

『世の中のデジタル化が進むにつれ、社会は中央集権国家に情報が集中し、個の力が弱まるという構造的な問題を抱えています。
この問題を解決する為、暗号技術を使い、個人の存在を守ろうというムーブメントが起こり、これは一般的にサイファーパンク運動と呼ばれます。
このムーブメントからBitcoinが生まれました。Bitcoin誕生の背景にあるのは人類愛であり、国家などの巨大な力から個人を守り、個人をエンパワーメントすることを目的の一つにしています。これを実現する為には個人の「匿名性」を守ることが非常に重要です。』

つまり、匿名通貨とは『個人情報を守る』為に作られた仮想通貨なのです。

現代のデジタル化が進む社会において、個人情報の流出は計り知れないリスクがあります。
インターネットの普及、スマートホンの普及やSNSの利用者増加などで今や他人の個人情報はある程度インターネットに精通していれば簡単に入手することが出来ます。

そしてこの問題は一向に解決や改善されることはありません。

日本においても、普及こそ伸び悩んでいますが、マイナンバーカードなどによる個人情報の管理を国が斡旋しています。
様々な意見があるとは思いますが、普及が伸び悩む理由の一つに個人情報の開示が不安されているのでしょう。

そんな逃げ場のないネット社会において、「匿名性」は個人を個人が自己防衛することが出来る”最後の盾”になり得る技術なのです。

そもそも犯罪目的の為に作られたというイメージが本当なら、コインチェックで取り扱われたり、仮想通貨市場での流通などあり得ません。

例えば、犯罪に包丁が使われたからと言って、包丁を使うことが禁止されるでしょうか。犯罪者は、便利な道具があれば犯罪に使います。つまり道具が問題ではないのです。

 

匿名通貨のこれからを考察

コインチェックが取り扱いをやめ、G20でもおそらくなんらかの規制はされるでしょう。
ここまで匿名通貨が国家から嫌われる理由として、資金洗浄(マネーロンダリング)や闇取引に使われるなどを挙げましたが、ハッキリ言ってただの口実としか考えられません。

なぜ国家が匿名通貨を排除しなければならないのか、それは『国そのものを破綻させる』可能性を秘めているからです。

資本主義社会において、国が発行する通貨、すなわち法定通貨の価値は、国への信頼が担保として裏付けされています。
そして、日本という国に生まれ育った私たちには想像し難い点もありますが、世界を見渡すと、ハイパーインフレを引き起こし、経済が破綻したケースも珍しくありません。経済破綻に陥った国の人々の生活は貧困を極めます。

まさにBitcoinの大義とはここにあります。

世界には戸籍を持っていない人が十数億人規模でいる現状で、暗号技術があれば銀行口座を開設する必要もなく取引が出来てしまいます。
そして、戸籍がなくともスマートフォンの普及率は全人口を母数として、100%を超えています。

ジャングルの奥地の民族ですら、スマートフォンを持っている時代です。スマートフォンさえあれば簡単に取引が出来ることから、実際に世界中で暗号通貨での決済は普及の一途を辿っています。少しずつではありますが、着実に世界の経済は変わり始めています。

国民の、自国に対する信用が無くなれば無くなるほどに仮想通貨の需要が高まります。
破綻しそうな国の通貨をいつまでも持っている訳にはいきません。

これが”リスクオフ”であり、仮想通貨市場が拡大している理由です。

そして「匿名性」という暗号技術は、確実に資産を守ることができる他にはない最善策になり得えます。

例えば他の仮想通貨だと、公開台帳(ブロックチェーンが公開されている)の場合、KYC(本人確認)が必要な取引所から経由し、どれだけ資産を持っているかが分かってしまう可能性もあります。これは仮想通貨の一つのリスクでもあり、日本でも殺人事件まで発展したケースがあったことはご存知かと思います。

「匿名性」はこのリスクも回避出来ます。

言わば、”優秀すぎる”技術が故に、懸念されてしまし、更にはマイナスイメージまで植え付けられてしまいました。

しかし、ここに異議を申し立てなければいけない”矛盾”な点があります。それは、誰でも知っている、仮想通貨時価総額上位の「Bitcoin」「Ethereum」「LiteCoin」などが、「匿名性技術」の実装を目指し、開発を続けているという事実です。

おかしいとは思いませんか?

ここに挙げた3つの仮想通貨以外にも、匿名性技術を取り入れようと開発を進めているのが実情です。
そしてこの3つの仮想通貨は基軸通貨としても扱われ、もはやどの取引所でも扱われています。

そんなメジャーな仮想通貨が匿名技術を実装する日はそう遠くないでしょう。
事実、Ethereumは匿名通貨であるZECの「ゼロ知識証明」という匿名技術をアップデートで実装することを既に公表しています。

目前に迫った「G20」、匿名通貨の取り扱いについて、どのような議論がなされるのか、要注目です。

仮に、全ての取引所の匿名通貨の取り扱いを禁止した場合、BitcoinやEthereumはどうなってしまうのでしょうか。
現時点で、日本の市場から匿名通貨が消え去りましたが、案ずることはありません。規制内容によっては、価格の下落が大いに考えられます。

しかし、匿名技術とは、暗号技術の最大の魅力であり、根幹とも言えます。

元より、KYC(本人確認)を必要とする取引所で匿名通貨を買っても実利用を考えると、全く意味がありません。

不遇な扱いを受ける匿名通貨にとって、本来の力を発揮すべき場所は全く違うところにあります。こうなってしまった原因の一つは、その優れた匿名技術を実用化出来るレベルに開発するのが早すぎたこと、要はタイミングです。

国が懸念する材料として、「税金逃れ」が出来てしまうからです。
税制度や取引所などの明確なルールが定まっていない現状を考えれば、その優秀さが厄介で仕方ないのでしょう。

相場を読むという観点からも、仮想通貨全体が高騰した2017年12月は、「税金逃れを目論み匿名通貨に買いが集まる」という仮説から匿名通貨を徹底的にリサーチし、『XVG(Verge)』を推奨銘柄としてお伝えさせていただきました。
XVGを選んだ理由は他にもありますが、結果的に推奨後、約2週間で50倍前後の高騰を見せました。
(さすがに自分でも驚きました。)

匿名通貨に買いが集まりやすい相場を紐解くキーワードは「税金対策」

市場分析の一つのシグナルとして、覚えておいて損はありません。そして単に匿名通貨と言っても、その数は日を追うごとに増えています。
匿名性を確保する為の技術はどの匿名通貨を見ても、極めてハイスペックなものばかりです。

各匿名通貨の特徴なども別記事にて書く予定ですのでお楽しみに。

最後にお伝えしたいことは、ハッキリ申し上げると匿名通貨の価格はどうなるのか全く読めません。

なぜなら取引所のルールとして「匿名通貨を取り扱うことは違法」となれば、大暴落は避けられません。ただ、匿名技術の実装を進める仮想通貨が存在している事実が防衛線となる可能性も考えられる為、どの様な法規制になるか、サッパリ読めません。

しかし、短期的な暴落の可能性も含めつつも、匿名通貨の未来は”明るい“と考えます。

なぜなら将来的にKYC(本人確認)を必要としないDEX(分散型取引所)の実用化は確実であり、DEXでなくとも仮想通貨だけの経済圏、いわゆる『トークンエコノミー』が現実味を帯び来た時、匿名通貨は”真の力”を発揮します。

まずは目前に控えた「G20」の動向に注目ですが、現時点で確信していることは、匿名技術の需要がこれからも益々増加し続けること。

そして取引においては、自分が使いたい理由がある、又は誰かが使いたい理由がある時に限定すべきかも知れません。匿名通貨の特徴を理解し、実需が生まれる時を分析すればチャンスは生まれます。

長くなりましたが、このコラムを読んで匿名通貨が”犯罪の為の仮想通貨”という誤解が解ければ、大変嬉しく思います。

 

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