修正案の骨子と未申告時の厳罰化
フランス国民議会(下院)は、2027年度財政法案の審議において、セルフカストディ(自己管理型)ウォレットで高額の暗号資産を保有する納税者に対し、税務当局への申告を義務付ける修正案を賛成多数で可決した。
取引所などの仲介業者を介さないプライベートウォレットの透明性を高め、課税逃れを防ぐ狙いがある。ただし、実際に制度化されるためには、法案全体が予算審議の最終プロセスを通過する必要がある。可決された修正案「I-2701」は、シャルル・ド・クルソン(Charles de Courson)議員らによって提出されたものだ。
この案では、中央集権的な暗号資産サービスプロバイダーに預けず、ハードウェアウォレットやソフトウェアウォレットなどで直接管理するデジタル資産を対象としている。
申告基準:
対象課税年度の12月31日時点での評価額が10万ユーロ(約1,770万円)以上の場合。
適用範囲:
すでに申告義務がある海外の口座(様式3916-bis)とは異なり、個人のプライベートウォレットが対象。
罰則規定:
申告義務を怠った場合、最大1万ユーロ(約177万円)の罰金が科される見込み。
法案の背景には、金融機関の管理下から外れた暗号資産への監視体制に対する懸念がある。過去の調査では、2021年に国民が税務当局へ申告した暗号資産の総額が4億ユーロ(約711.4億円)であったのに対し、同年に実現されたキャピタルゲインは35億ユーロ(約6,225.3億円)に達していたことが判明しており、こうした不均衡を是正する動きの一環だ。
ステーブルコイン交換課税と非課税提案の否決
今回の予算審議では、報告義務化以外にも暗号資産の税制を巡るさまざまな議論が交わされた。
議員らはすでに、暗号資産を電子マネートークンに分類されるステーブルコインへ交換する際に生じる利益への課税案を承認。一方で、年間最大1,000ユーロまでの小額な暗号資産決済による利益を非課税とする提案は、反対多数(69対14)で否決された。さらに、富裕層の国外脱出に伴う課税逃れを防ぐための出国税(エグジット・タックス)を未実現の暗号資産利益にまで拡大する提案も同様に退けられている。
正式成立に向けた今後の懸念とスケジュール
今修正案が可決されたものの、直ちに法律として施行されるわけではない。成立には2027年度財政法案全体の可決が必要だ。
国民議会における第一読会は11月中旬までに終了し、その後上院での審議へと移行する見通しだ。しかし、議会内での予算案の歳入部分に対する意見対立から採決が延期されており、歳入セクション全体が否決された場合、採択された各種修正案が無効化されるリスクも指摘されている。暗号資産市場の透明化に向けたこの法案が最終的に着地するかどうか、今後の議会動向が注視されている。
























