Multicoin Capital、AIトレンドを拒否しHyperliquid(HYPE)を最大保有銘柄へ

Multicoin CapitalがHyperliquidを最大保有銘柄へ

運用資産27億ドル(約4,281億円)を誇る米国投資会社のMulticoin Capital(マルチコイン・キャピタル)は、同社が運用するヘッジファンド(流動資産ファンド)における最大の保有銘柄が、暗号資産Hyperliquid(ハイパーリキッド)の「HYPE」トークンであることを明らかにした。

多くの暗号資産系ベンチャーキャピタルがAI(人工知能)やロボティクス分野へとポートフォリオを拡大するなか、同社はAI領域への本格的なシフトを否定し、暗号資産投資に専念する独自のスタンスを鮮明にしている。

蓄積を経て実現したHYPEトップポジションの獲得

Multicoinのゼネラル・パートナー兼ベンチャー投資共同責任者であるスペンサー・アップルバウム(Spencer Applebaum)氏は、2026年10月のインタビューにおいて、HYPEが同ファンド内で最大のエクスポージャー(保有比率)を占めている事実を認めた。同社は非公開の初期割り当てではなく、公開市場での取引を通じて数カ月間にわたり買い増しを行い、このポジションを構築してきた。

同社が6月に発表した投資レポートによると、2026年初頭から本格的な買い増しが開始されていたという。同社の投資テーゼ(根拠)は、Hyperliquidが単なる分散型デリバティブ取引所(DEX)にとどまらず、コモディティや株式指数、その他の金融商品を対象とするHIP-3市場の拡張などを通じて、より包括的な金融プラットフォームへ成長するという見通しに基づいている。

同レポートにおける独自の試算モデルでは、2028年に年間約80億ドル(約1.27兆円)の収益を見込み、20倍のマルチプルを適用した場合の評価額を1,600億ドル(約25.3兆円)と算定。1トークンあたり基本シナリオで319ドル(約5万円、弱気で109ドル:約17,000円、強気で689ドル:約10万円)という目標水準を掲げていた。

AIバブルと一線を画す投資戦略

競合する主要暗号資産ファンドの動きと比較すると、Multicoinの姿勢は際立っている。例えば、Paradigm(パラダイム)はAIやロボティクスを対象に組み込んだ12億ドル(約1,902億円)規模の第4号ファンドを設立し、Framework Ventures(フレームワーク・ベンチャーズ)やHaun Ventures(ハーン・ベンチャーズ)もAIエージェントや新技術領域への出資を加速させている。

これに対し、アップルバウム氏は「自社の真の競争優位性はデジタル資産の専門性にある」と主張。暗号資産とAIを過度に関連付ける市場の動きに懐疑的な見方を示した。

同社は分散型データインフラのGrass(グラス)など、AIの普及に伴い需要が高まるブロックチェーン基盤への支援は行いつつも、AI事業そのものへの直接投資や過度な事業軸の変更は行わない方針を徹底している。

市場動向と機関投資家の思惑

機関投資家市場において、HYPEを巡るアプローチはさまざまだ。BitMEX(ビットメックス)の共同創業者アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏のように、流動性やマクロ経済への懸念からHYPEのポジションを整理した投資家も存在する。

一方で、ナスダック上場企業のHyperliquid Strategies(ハイパーリキッド・ストラテジーズ)による数億ドル規模の財務資産構築や、Bitwise(ビットワイズ)による保有比率の引き上げなど、長期的な価値を見出す機関投資家の資金流入も持続している。

なお、Lookonchain(ルックオンチェーン)等のデータにより、Multicoin(マルチコイン)に関連する暗号資産取引所Coinbase Prime(コインベース・プライム)への大口送金履歴(累計400万HYPE以上)が観測されている。しかし、機関投資家向けカストディの利活用を含め、これらが即座に市場での売却を意味するものではない点には留意が必要だ。依然として同社は自社の強みであるWeb3領域にリソースを集中させ、市場のトレンドに惑わされない独自の長期投資を推し進めている。

 

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