台湾の地方統一選挙を前にCoinbaseとKalshiの取引を停止
2026年11月28日(土曜日)に控える台湾の地方統一選挙まで約6週間となった2026年10月中旬、台湾当局は暗号資産取引大手Coinbase(コインベース)および予測市場プラットフォームを提供するKalshi(カルシ)に対するアクセス遮断措置を講じた。
台頭するデジタル予測市場が選挙の公正性に与える悪影響を未然に防ぐ狙いがあるとみられる。新北地方法院(地方裁判所)は2026年10月15日、通信規制当局およびインターネット登録機関に対し、両プラットフォームへの国内アクセスを制限する権限を与えた。これに先立ち、10月14日(水曜日)頃から台湾国内のユーザー間でウェブサイトへ接続できない状態が観察されていた。アクセスを試みた利用者は、裁判所の命令に関する告知ページへ自動的に転送されている。
今回の規制命令を要請した台湾刑事警察局は、両社が提示する取引プラットフォームにおいて、台湾の選挙結果を対象とした違法な賭博が行われている疑問を指摘。CoinbaseはKalshiと提携関係を結び、イベント予測市場を展開していたが、その中には今回の台湾地方選挙に直接関わる契約商品が含まれていたとされる。
公職人員選挙罷免法に基づく厳格な罰則規定
この取り締まりの法的根拠となったのは台湾の公職人員選挙罷免法である。同法では、選挙や罷免の結果を対象とする営利目的の賭博行為を厳格に禁止している。
2023年の法改正によって規制の枠組みは著しく強化されており、賭博に参加した個人には最高6カ月の禁錮刑、賭博の場を提供・運営した事業者に対しては最高5年の禁錮刑が科される可能性がある。
過去にも大手予測市場Polymarket(ポリマーケット)が同様の法解釈に基づきアクセス遮断処置を受けており、台湾当局は予測市場に対して一貫した厳格姿勢を崩していない。
海外からの選挙干渉リスクと不正資金への警戒
台湾当局は、賭博行為による世論操作の懸念に加え、海外勢力による選挙干渉の防止を重要な目的として挙げている。特に地下金融ルートを経由して流入する国外資本が、予測市場を通じて選挙へ不当な影響を及ぼすリスクに警戒を強めている。
現総統である頼清徳(らい せいとく:ライ・チントー)政権の発足後初となる今回の地方統一選挙(市長、市議会議員、村長などの選出)において、政府は不正資金の流出入や違法賭博の監視をかつてないレベルで強化している。
グローバル展開を強める予測市場が直面する課題
Coinbase側は一部ユーザーのアクセス不具合を認識し原因調査を進めていると説明し、Kalshi側は台湾での取引提供を認めていない旨を回答した。しかし、金融商品として予測市場を展開しようとする企業のグローバル戦略は、各国の賭博規制や選挙安全保障の壁に阻まれる事態が増加している。
韓国におけるPolymarket利用者の刑事摘発や、米国におけるKalshiを巡る各種訴訟問題など、予測市場を巡る法的包囲網は世界中で強まりを見せている。台湾における今回の決断は、暗号資産や予測市場が持つリスクを単なる消費者保護の観点にとどめず、国家的な選挙安全保障の課題として捉えた象徴的な事例と言えるだろう。
























