関西電力が再エネ電力価値取引にブロックチェーンを使った実証実験を開始
関西電力が2018年10月から自社の巽実験センター内にて※1プロシューマー宅の屋根上に設置された再エネ電源の余剰電力を家庭間で、P2P取引して地域のローカルグリッドを構築するためのプラットフォームにブロックチェーンを活用した実証実験が次のフェーズに向けて動きだしたことを同社のプレスリリースで発表した。新たに始まる実験内容は下記の通りである。
実験期間:2019年12月9日〜2020年3月31日
- 再生可能エネルギーの電力としての価値以外に発生する、CO2排出削減による環境価値としての付加価値をトークン化して企業間で取引するためのプラットフォーム整備。
- プロシューマーとコンシューマーの希望価格から取引価格を決定し、余剰電力の取引を行う。
今回の実証実験に参加する企業は関西電力と日本ユニシスの2社である。
これまでは豪州のパワーレッジャー社と共にプロシューマーとコンシューマー間の個人間取引のみにフォーカスした実証実験を行ってきたが、今回の取り組みでは、P2Pの個人間取引以外にも再エネ活用に積極的に取り組んでいる※2「RE100」企業を対象としたCtoBでの再エネ電力価値取引にも対応可能なプラットフォームの形成を進めていくようである。日本ユニシスでは現在、経産省から委託を受け、「再エネ非化石証書」という再エネ価値証書に記録される発電所のデータを自社のシステムを活用し、トラッキングすることでその価値を担保させることに成功しており、経産省の認可を受けている。このような技術がブロックチェーンのトラッキングシステムに活かされてくるのか、要注目である。
※1 プロシューマー:プロデユーサー(生産者)とコンシューマー(消費者)の造語。通常太陽光パネルを屋根上に乗せている自宅で、再エネ電気を生産しながら、同時に電気を消費している生産消費者の事を表す。
※2 RE100:企業の事業運営を100%再生可能エネルギーで調達する事を目標にしている国際イニシアチブの事。
近年では、ESG投資などの支援を受ける為、SDGsなどとも密接に関係し、まとめて加入する企業も増えている。