バーンスタイン:予測市場の取引量が2035年に10兆ドルへ拡大、予測を上方修正

バーンスタイン社が予測市場の取引量予測を上方修正

金融調査会社バーンスタイン(Bernstein)は最新のレポートにおいて、世界の予測市場における年間取引高が、2026年の推定4,100億ドル(約64.5兆円)から2035年には10兆ドル(約1,575兆円)規模にまで急拡大するとの見通しを発表した。

これは、2026年4月に同社が提示していた1兆ドル(約157.5兆円)という予測から大幅な上方修正となる。

同社のマネージング・ディレクター兼シニア・アナリストであるガータム・チュガニ(Gautam Chhugani)氏率いるアナリストチームによると、今後10年間にわたって業界は年平均約70%という驚異的なペースで成長を続ける見込みとのこと。背景には、Kalshi(カルシ)やPolymarket(ポリマーケット)といった主要プラットフォーム間の激しい主導権争いや、新商品の開発、そして取り扱うアセットの多様化が存在している。

金融資産契約がスポーツを凌駕する未来

これまで予測市場の取引高を牽引してきたのは主にスポーツ関連だったが、今後はその勢力図が大きく塗り替わると見られている。

バーンスタインの試算では、暗号資産、株式、コモディティ(商品)といった金融資産に関連する契約の割合が、2025年時点の全体比約12%から、2035年には49%へと急増すると予測。これにより、現在主力のスポーツ関連(2025年の61%から2035年には38%へ低下予想)を抜き、最大のカテゴリーに浮上する公算が大きくなっている。

この急成長を支える柱として、以下の2つの新しい商品セクターが注目されている。

KPI市場:
個別企業の株価そのものではなく、生産量、出荷数、サブスクリプション加入者数といった企業固有の事業指標を対象とした取引。
無期限先物(パーペチュアル・フューチャーズ)の拡張:
暗号資産市場で広く普及している仕組みが、コモディティや個別株式の分野へと本格的に波及。

900兆ドルの潜在市場とKalshiの台頭

バーンスタインの10兆ドル予測は、金融資産契約のTAM(潜在市場規模)が2025年の約700兆ドル(約11京円)から2035年には900兆ドル(約14京円)に達するという巨大な前提に基づいている。

予測市場がそのうちのわずか0.5%を獲得するだけで、金融契約だけで年間約4.7兆ドル(約740兆円)の取引高を生み出す計算になる。実際のプラットフォームの動向を見ると、Kalshiが市場を大きく席巻している。

〇2026年8月までの時点で、Kalshiは業界全体の取引高の約60%(2025年は35%)を占めるまでに急成長しました。
〇特に暗号資産(15分単位のビットコイン契約など)の割合が1月の5%未満から8月には約20%へと跳ね上がり、コモディティ取引も年初来で約5億9,000万ドル(約930億円、※そのうち8月単月で4億1,000万ドル(約646.3億円))へと爆発的な伸びを記録している。

一方のPolymarket(ポリマーケット)は、2026年の年間取引高に占めるスポーツ関連契約の割合が約52%(昨年は39%)と依然として高く、政治関連市場の割合は32%から22%へと低下。また、暗号資産関連は約21%を占めるなど、各社で異なるポートフォリオの傾向が見られている。

残された最大のハードル:米国の規制問題

爆発的な成長期待の一方で、米国市場における規制の不確実性は依然として大きな懸念材料っている。

バーンスタインの指摘によると、スポーツ予測市場を連邦規制上のデリバティブ(金融派生商品)と位置づけるか、それとも州法上の「ギャンブル(賭け事)」とみなすかについて、裁判所の判断が分かれている。この法的な明確化が進むのは、早くとも2027年から2028年頃になると予想されており、今後の制度設計が市場拡大のスピードを左右する鍵となりそうだ。

 

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