FinCENがロシアによる制裁回避阻止のために企業に働きかけへ

FinCEN がロシアの制裁回避措置阻止を企業に求める

USDT(United States Department of the Treasury=米国財務省)は3月7日(月曜日)、ロシアの軍隊によるウクライナへ侵入が激化するなか、デジタル通貨とランサムウェアに関連する潜在的なリスクを指摘し、制裁を回避しようとする潜在的な試みについての危険信号を報告するよう金融機関に促した事がわかった。

米国と同盟国がロシアに対して積極的な金融制裁を実施するにつれ、財務省のFinCEN(Financial Crimes Enforcement=金融犯罪捜査網)は、現在制裁を受けていないロシアの銀行や金融機関などが、制裁回避のため、仮想通貨を含む変換可能な仮想通貨を使用できると警告。FinCENの代理ディレクターであるヒム・ダス(Him Das)氏は声明のなかで次のように述べた。

ロシアへの経済的圧力の高まりに直面し、米国の金融機関が、国家関係者とオリガルヒ(oligarch)(※1)の両方によるものを含め、ロシアの制裁回避の可能性に警戒することが極めて重要である。

オリガルヒ(oligarch)とは…
ロシアやウクライナ等旧ソ連諸国の国有企業の民営化など、資本主義化の過程で形成された政治的影響力を有する新興財閥の事。

増え続ける制裁措置リスト

米国および同盟国は、ロシアを世界の金融システムから隔離するのに役立つ制裁措置リストを増やしている。

この制裁措置リストは、ロシア最大の金融機関をはじめ、中央銀行、ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領を含むさまざまな追加のエンティティ、オリガルヒ、個人を対象としている。FinCENは、デジタル通貨を交換または管理者として機能する金融会社に、制裁対象のロシアのエンティティまたは個人に関連付けられる可能性のある変換可能な仮想通貨ウォレットに関連付けられたトランザクションを監視するよう警告。当局は警告を拡大し、ベラルーシに対しても、ロシアへの支援に結びつく実体と個人を含めている。

警告は、制裁回避が「国際金融システムへの少なくともある程度のアクセス」を維持し続ける現在制裁されていないロシアおよびベラルーシの銀行または他の金融機関によって実行される可能性があることを警告している。

ランサムウェアキャンペーンにも警告

FinCENはロシア関連のランサムウェアキャンペーンによってもたらされる危険性についても金融機関に警告している。

FinCENは企業に対し、ロシア、ベラルーシ、またはマネーロンダリング(資金洗浄)防止の欠陥があると見なされる他の場所からの「信頼できない」または以前にフラグが立てられたソースからのIPアドレスを探すように指示。さらに警告の中でFinCENは、外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control)によってブロックされた人物リストに関連する顧客取引、顧客のデューデリジェンス措置が緩い管轄区域で外国ベースのサービスプロバイダーを使用している顧客に注意するよう企業に警告し、次のように述べている。

仮想通貨取引所や管理者など、取引フローを可視化する金融機関を含むすべての金融機関が、制裁回避の可能性に関連する疑わしい活動を特定して迅速に報告し、適切なリスクベースの顧客デューデリジェンスを実施することが重要です。