Keel Infrastructure社がビットコインマイニング事業を全面的に閉鎖:AIデータセンター事業へ完全転換へ
北米の主要インフラ企業であるKeel Infrastructure(旧Bitfarms)は、米国内で展開していたすべてのビットコイン(Bitcoin/BTC)採掘拠点を閉鎖したことが明らかになった。
同社はAI(人工知能)および高性能コンピューティング(HPC)向けデータセンター開発への戦略的転換を進めており、マイニング機器の撤去を完了させている。この完全撤退計画の一環として、2026年4月1日から8月7日の期間に1,085 BTCを7,500万ドル(約119.5億円)で売却。8月7日時点での担保設定がないビットコイン保有量は1,861 BTC(評価額約1億2,100万ドル:192.8億円)となった。
売却資金や当四半期に発行した4億5,800万ドル(約730億円)の転換社債などを背景に、同社の流動性資産は8億1,900万ドル(約1,305億円)、うち現金等約6億9,800万ドル(約1,112.5億円)に達しており、資本基盤をこれまでになく強固な状態へと高めている。
事業転換費用が響いた第2四半期決算と組織強化
同社が発表した第2四半期決算は、大規模な事業転換による影響を色濃く反映する結果となった。ビットコイン価格の低迷や4月のワシントン州モーゼスレイク(Moses Lake)拠点閉鎖が響き、売上高は前年同期比50%減の3,000万ドル(約47.8億円)にとどまった。
また、8,400万ドル(約133.9億円)の非現金支出(減価償却費)を含む1億4,100万ドル(約224.7億円)の営業損失を計上し、継続事業による最終損失は6,400万ドル(約102億円)となった。施設建設に伴う上級管理職の採用により一般管理費は3,100万ドル(約49.4億円)へ増加したが、商業活動の拡大を主導する新社長としてガネーシュ・アイヤー(Ganesh Aiyer)氏を任命するなど、体制の強化を着々と進めている。
拠点の許認可取得と電力容量の確保
ベン・ギャグノン(Ben Gagnon)CEO(最高経営責任者)は「インフラ構築において電力こそが最大の制約要因」と指摘し、同社が優先的に進める拠点開発で有利な立場にあることを強調した。
同社はPanther Creek(パンサー・クリーク)およびSharon(シャロン)拠点でのゾーニング(土地利用区分)承認を取得し、環境許認可の手続きやMoses Lake(モーゼスレイク)拠点へのVertiv製モジュールの導入を進めている。さらにケベック州シェルフロークにおける96MW規模の電力容量確保や、PJM送電網・ワシントン州における2027年稼働分の電力を押さえており、各拠点でのテナント交渉を精力的に展開中だ。
暗号資産採掘業界に広がるAIシフトの波
マイナーの現金マイニングコストが販売価格を上回る逆ざや現象が続くなか、上場マイニング企業によるBTC売却とAI・HPC分野への参入が相次いでいる。業界全体で1万5,000 BTC以上が売却される一方、AI関連契約は700億ドル(約11兆円)規模に達しており、Keel社の参入もこの構造変化の潮流に沿ったものと言える。























