北朝鮮ハッカー集団、AIツールを開発・展開で企業へのサイバー攻撃を本格化
韓国のサイバーセキュリティ企業Genians(ジニアンズ)は、北朝鮮政府系のハッカー集団Kimsuky(キムスキー)が、ローカル環境で動作するAI(人工知能)インフラを構築していると発表した。
この動きは、単にフィッシングメールの文章を作成する段階を超え、攻撃活動そのものにAIを深く組み込む新たなフェーズに入ったことを示している。
発表によると、Kimsukyは「Ollama(オラマ)」「GPT4All(ジーピーティー・4・オール)」「Msty」といったツールを活用し、外部のクラウドサービスに依存しないローカル大規模言語モデル(LLM)環境を整備していた。さらに、文書検索技術である「RAG(検索拡張生成)」の導入も確認されている。
ローカル環境でAIを稼働させることで、侵入先から窃取した機密データや内部文書を外部サービスに送信することなく安全に処理できる。これにより、攻撃者側における情報漏えいリスクを最小限に抑えながら、データ分析やフィッシング文面の精巧化を進めることが可能となります。
マルウェア開発とデータ処理の自動化を推進
同グループのインフラからは、AI支援型コーディングツール「Cursor(カーソル)」や、音声テキスト化ツールである「Whisper(ウィスパー)」関連のファイル、さらには各種AIエージェントフレームワークも検出された。
これらは、奪取した音声データや大量の資料の効率的な自動解析だけでなく、マルウェアの開発やサイバー攻撃プロセス全体の自動化を支援するために収集されたとみられている。実際に、金融や暗号資産の正規文書に精巧に偽装されたAI生成文書も複数発見されている。
深刻化する暗号資産セクターへの威脅
北朝鮮関連の脅威アクターによる暗号資産狙いの活動は非常に深刻だ。調査機関の報告によると、2026年上半期に盗み出された暗号資産の半数以上、約6億900万ドル(約969.5億円)が北朝鮮系ハッカーによるものとされている。これにはTraderTraitor(トレイダー・トレイター)による大規模な不正流出事件や、偽のIT技術者IDを用いた組織的な資金獲得活動などが含まれる。
AIを活用した標的型攻撃はより巧妙で巧妙化しており、見破ることが困難になっている。暗号資産関連企業には、テキストの不自然さに頼る従来の検知ではなく、アクセス制御の強化や多要素認証、行動ベースの監視(振る舞い検知)といった包括的なセキュリティ対策の徹底が求められている。























