クラーケンが香港のステーブルコイン企業Reapを6億ドルで買収
大手仮想通貨取引所クラーケン(Kraken)は香港を拠点とするステーブルコイン企業Reapを6億ドル(約941億円)で買収した事が明らかになった。
ブルームバーグの報道によると、クラーケンの親会社であるPayward Inc.は、香港を拠点とするReap Technologiesを現金と株式による6億ドルで買収することに合意。これは、アジアのステーブルコイン決済インフラに対するグローバル仮想通貨取引所による過去最大級の投資の一つとなる。
この買収により、クラーケンのアジア進出はさらに強化され、仮想通貨取引にとどまらず、ステーブルコインを活用した金融サービスへの事業拡大が加速する。また、Reapの収益性の高いインフラは、クラーケンの機関投資家向け金融および組み込み決済事業のグローバル展開を強化すると期待されている。
この取引で発行されたPayward株の評価額は200億ドル(約3兆円)となり、クラーケンがIPO(Initial Public Offering:新規株式公開)準備開始前の最後の大型資金調達ラウンドで達成した水準を事実上再確認する形となった。
なお、今回の買収により、クラーケンは急成長市場における規制対象の決済インフラに即座にアクセスできるようになり、自社でシステムを構築する必要がなくなるとのこと。
企業としてのReapの軌跡
Reapは、企業向けステーブルコインネイティブ決済インフラを専門としており、国境を越えた決済、財務ツール、法定通貨およびデジタル資産に紐づいた法人カードサービスなどを提供している。
主力製品のReap Directは、法人顧客向けに法定通貨とステーブルコインの決済システムを統合。2025年時点で既に黒字化。買収前に約6,000万ドル(約94億円)の資金調達をしていたと報じられている。また、同社はグローバル・ダラー・ネットワークにも参加しており、クラーケンのステーブルコイン決済および組み込み金融への幅広い取り組みと合致している。
香港に本社を置く同社は、香港の規制当局が法定通貨参照型ステーブルコインのライセンス制度を導入するのに伴い、「決済機会の獲得」を目指し、香港にグローバル本社を拡張。Reapは自社サイトのブログ記事で、「ステーブルコインは国境を越えた決済の未来だ」と主張。ブロックチェーンベースの決済システムによって仲介業者を排除し、企業の取引コストを大幅に削減できると述べている。
Reapの買収が重要な理由
クラーケンは8億ドルの資金調達ラウンドにおいて、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域、EMEA地域への事業拡大に加え、「仮想通貨にとどまらず、他の資産クラス、高度な取引ツール、強化された決済サービス、そして機関投資家向け機能の向上など、サービス範囲を拡大する」と説明している。
Reapの買収は、クラーケンがCNBCに対し、米国での新規株式公開(IPO)を非公開で申請したことを認めたわずか数週間後の動きであった。最近の二次取引では、投資家によって133億ドル(約2兆円)から200億ドル(約3兆円)の評価額が示唆されている。
アナリストらは、香港が法定通貨に裏付けられたステーブルコインのライセンス供与と仮想資産ディーラーに対する規制強化を決定したのは、香港をトークン化金融の地域ハブにすることを目的としていると指摘。こうした背景から、クラーケンの事業拡大にとってReapの香港拠点は戦略的に重要な意味を持つとみられる。
ただし、クラーケンの公式サイトはまだ正式な発表を行っておらず、Reapも公式なコメントを発表していない。投資家は今後、クラーケンがReapの決済インフラを機関投資家向けおよびプライムブローカー向け商品にどのように統合していくのか、ステーブルコイン決済をめぐる世界的な競争が激化する中で、注視していくだろう。























