保管・ステーキング・送金に取引を加えた一体型サービスで機関需要に対応
ドイツの金融監督当局BaFinは、BitGo Europe GmbHに仮想通貨の規制下取引を認めた。
European institutions can now trade digital assets through BitGo’s regulated trading services, approved by BaFin. 🇪🇺
By uniting institutional-grade custody with seamless execution and aggregated liquidity, BitGo Europe delivers the infrastructure for safe and efficient… pic.twitter.com/efCaNvleuq
— BitGo (@BitGo) September 17, 2025
欧州の機関投資家は、BaFin(ドイツ金融監督庁)の承認を受けたBitGoの規制対象取引サービスを通じて、デジタル資産を取引できるようになりました。🇪
機関投資家レベルのカストディサービスとシームレスな執行、そして集約された流動性を融合させることで、BitGo Europeはデジタル資産市場への安全かつ効率的な参加のためのインフラを提供します。
フランクフルト拠点の同社は、既存の保管とステーキング、送金に加えて、店頭取引と電子取引を提供できる。基盤は2025年5月に取得したMiCA(仮想通貨市場規制)ライセンスで、対象は数千種類の仮想通貨とステーブルコイン。資産はMiCA準拠のコールドストレージで保管され、複数の流動性プラットフォームに接続する。BitGoは1,000億ドル(約14.7兆円)超の資産を保管するインフラ企業で、欧州で単一の枠組みのもと保管から取引までを提供できる数少ない事業者となる。
BaFin承認の内容と提供範囲
BitGo Europeは、保管とステーキング、送金に加えて、OTC(店頭取引)と電子取引を提供し、機関投資家はOTCデスクと複数の流動性取引プラットフォームにアクセスできる。
取引は同社の規制対象プラットフォーム上で完結し、カウンターパーティリスクや手続きの煩雑さを抑える設計だ。資産はMiCAに準拠したコールドストレージで保護される。欧州セールスおよびGo Network責任者のブレット・リーブス(Brett Reeves)氏は次のように説明している。
欧州のプラットフォームを強化し、お客様がシームレスに、競争力を持って、自信を持って取引を行えるようにできることを大変嬉しく思います。機関投資家は豊富な流動性と信頼性の高い執行力を求めていますが、同時に規制当局による監督の保証も必要としています。私たちは、その両方を一元的に提供することを目指しています。
BitGoは年初にカストディ専門企業であるCopperと連携し、規制された環境内での「インカストディ」取引ネットワークを開発しており、安全性と効率を重視した仕組みづくりを進めている。今回の承認はその延長線上にあり、同社が欧州の規制市場に深く根ざしていく節目といえる。
機関投資家と市場へのインパクト
今回のライセンス拡張は、欧州の年金基金や資産運用会社、大手金融機関などにとって仮想通貨市場への参入障壁を下げる効果が期待されている。
従来、機関投資家は複数の取引所に口座を持ち、異なるカストディアンを利用する必要があったが、BitGoのエコシステム内では一元的に完結でき、摩擦や規制上の不確実性を軽減できる。Statistaの推計によれば、欧州の仮想通貨収益は2025年に260億ドル(約3.85兆円)に達し、導入はドイツがリードすると見込まれている。MiCAの施行やインフラ改善、上場投資商品の拡充は信頼性を高め、機関投資家の参入を後押しする追い風になっている。
競合環境では、CoinbaseやKraken、Bitvavoが既にMiCA準拠の認可を得ており、BybitやGeminiも続いている。BitGoはこれらの企業と並び、欧州市場でのプレゼンスを拡大しつつある。機関投資家にとっては、規制環境下での選択肢が増え、安全性と流動性、利便性のバランスが取りやすくなる。