DBS銀行、イーサリアム上でトークン化ストラクチャードノートを提供へ

DBS銀行がイーサリアム上で発行したトークン化ストラクチャードノートを象徴するイメージ

機関投資家向けに仕組み債をトークン化しアクセス拡大を狙う

DBS銀行はイーサリアム上で仕組み債をトークン化して提供する

ADDXDigiFTHydraXと連携し、適格な投資家に流通させる。仮想通貨を直接保有せずにエクスポージャーを持てる商品設計で、需要が高まる仮想通貨関連の運用ニーズに応える。

最初に提供するのは、仮想通貨の価格に連動する現金決済型のストラクチャードノート。価格が上昇すれば現金が支払われ、下落時には損失を軽減する仕組みを備える。従来のストラクチャードノートは債券とデリバティブを組み合わせる性格上、最低投資額が10万ドル(約1,470万円)と高額になることが多かった。今回のトークン化で各商品を1,000ドル(約147,000円)単位に分割し、代替可能性と流動性を高め、ポートフォリオ管理の柔軟性も上がる。

イーサリアムを採用した理由は、成熟度、世界的な普及、実績あるセキュリティにある。DBSは、現実世界の金融資産をパブリックチェーンで運用する取り組みを先導する姿勢を示した。

提供体制とアクセス拡大

本商品は第三者の投資プラットフォームおよび取引所を通じて、資格のある投資家に提供される。

従来はDBSの直接顧客が中心だったが、提携により非DBSの投資家にも扉が開く。仮想通貨を現物で持たずに市場に参加できる点は、カストディや運用体制の制約がある機関投資家にとって扱いやすい。DBSは仮想通貨連動債に加え、株式連動債や信用連動債といった従来型の商品もトークン化する計画だ。

幹部コメントとビジョン

国際金融市場向け外国為替およびデジタル資産部門の責任者であるリー・ジェン(Li Zhen)氏は、資産のトークン化を金融市場インフラの次のフロンティアと位置付ける。

2021年から責任あるイノベーションを掲げ、トークン化で実需に応えることで市場を効率的かつアクセスしやすくしてきたとし、今回の第一弾は機関投資家の需要に直結すると述べる。

需要の高まりとDBSの基盤

需要面では勢いが続く。2025年上半期にDBSの顧客が執行した仮想通貨連動のオプションやストラクチャードノートは合計で10億ドル(約1,470億円)超。第1四半期から第2四半期にかけて約60%の増加となった。

シンガポールではファミリーオフィスが2024年に2,000を超え、前年比43%増となり、洗練されたデジタル金融商品の受け皿が広がっている。DBSは2025年末までに運用資産3,000億ドル(約44兆円)超を目指し、強いバランスシートを背景にトークン化市場への取り組みを拡大する。

財務実績が支える展開

2024年には時価総額が1,240億シンガポールドル(約14.2兆円)に達し、株主総利回りは51%と過去最高を記録。インドでは大企業と中小企業向けの銀行業務が25%伸び、買収で得た支店網とデジタルやAI(人工知能)の能力を掛け合わせて成長を加速させた。こうした基盤が、新たなトークン化商品の継続的な開発と提供を後押ししている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム