アルゼンチン大統領が自身を調査の仮想通貨ユニットを解散
アルゼンチンの大統領ハビエル・ミレイ（Javier Milei）氏が、自身の仮想通貨関連の行動を調査していた、今年新設されたUTI（特別調査ユニット）を解散したことが明らかとなった。
2025年2月に設立されたUTIは、ミレイ氏がSNSで紹介した仮想通貨「LIBRA（リブラ）」に関する不正疑惑の調査を担当。LIBRAは一時急騰したものの、直後に暴落し、多額の損失を出したことから、国内外で注目を集めた。UTIは設立からわずか3カ月後に「任務を終えた」として正式に解散されたが、調査結果は一切公表されておらず、政府からも説明はなされていない。
監視機能の削減とその背景
今回の解散は、ミレイ大統領とマリアーノ・クーネオ・リバローナ（Mariano Cúneo Libarona）司法大臣による政令に基づいて行われた。
政府は、UTIが調査結果を公共検察局に提出したと説明しているが、内容の透明性に欠ける点に批判が集まっている。UTIは独立予算を持たず、国内外の機関と連携しながら調査を行える体制だったが、その責任者マリア・フロレンシア・シカボ（María Florencia Zicavo）氏は司法大臣の側近であり、設立当初から独立性に対する懸念もあった。
LIBRAスキャンダルと司法の行方
2025年2月14日、ミレイ大統領がXでLIBRAを支持した投稿を行った直後に価格が高騰し、その後急落。多くの投資家が損失を被り、LIBRAをめぐる騒動は国際的な関心を呼んだ。
この件を受けて、アルゼンチン議会は独自調査を開始。さらに、アメリカとスペインでもミレイ氏およびその妹カリーナ・ミレイ（Karina Milei）氏の関与が疑われ、司法調査が始まっている。
現在、LIBRAスキャンダルに関する判断は、アルゼンチンのマリア・ロミルダ・セルビニ判事のもと、司法の手に委ねられている。
政策改革と監視体制の逆行
ミレイ大統領は、中央銀行の廃止を含む急進的な政策改革を進めてきたことで知られ、仮想通貨に対しても肯定的な立場を取ってきた。しかし今回のUTI解散や調査結果の非公開、独立機関の弱体化は、合理化の域を超え、「自らを監視する体制の排除」とも受け取られている。
市民や投資家、国際社会からの透明性への関心が高まる中、LIBRA問題は今後のアルゼンチンにおける仮想通貨政策の方向性を左右する重要な試金石となりそうだ。
