ジェネシスが親会社DCGとバリー・シルバートCEOを提訴
仮想通貨貸付企業のジェネシス(Genesis Global Capital)は、親会社DCG(Digital Currency Group)とそのCEO(最高経営責任者)であるバリー・シルバート(Barry Silbert)氏に対し、詐欺やインサイダー取引などの重大な不正行為があったとして、総額33億ドル(約4,743億円)超の損害賠償を求めて2件の訴訟を提起した。
🚨 It’s gonna be a big week… The Genesis LOC’s two major lawsuits against DCG, Silbert and a network of insiders are now available to the public.
The partially redacted complaint in Delaware Chancery Court alleges Silbert and DCG’s control and exploitation of Genesis, pursuing…
— GenesisLOC (@TheGenesisLOC) May 19, 2025
今週は大きな出来事になりそうです… Genesis LOCがDCG、Silbert、そして内部関係者ネットワークに対して提起した2件の大規模訴訟が、一般公開されました。
デラウェア州衡平法裁判所に…
ジェネシスは2024年8月に破産手続きを終えており、今訴訟は、債権者の利益回復と責任追及を目的として、デラウェア州衡平法裁判所およびニューヨーク南部連邦破産裁判所に提出。訴状では、DCGとその関連会社(グレースケール・インベストメンツを含む)、およびシルバートCEOをはじめとする幹部が、ジェネシスを「企業ATM」として私的に利用し、財務状況を偽装する情報発信を通じて市場と顧客を欺いたと主張されている。
優先譲渡と暗号資産の流出が焦点に
ニューヨークでの訴訟は、破産申請前1年以内に行われた不正な資金移動を「優先譲渡」と位置づけ、10億ドル(約1,436.4億円)超の回収を求めており、対象となる主な取引は以下のとおりだ。
- DCGへの送金:4億4,800万ドル(約643.3億円)
- DCG Internationalへの送金:1億3,600万ドル(約195.3億円)
- HQ Enhanced Yield Fundへの送金:1億100万ドル(約145億円)
- DCGへの納税目的の送金:3,400万ドル(約48.8億円)
さらに、仮想通貨による支払い約5億8,200万ドルを含め、全体の回収対象額は12億ドルを超えるとされる。
一方、デラウェア州での訴訟では、ジェネシスから流出した21億ドル(約3,017億円)相当の仮想通貨が焦点となっており、その内訳には19,086BTC、69,197ETH、1,710万以上のその他トークンが含まれる。加えて、未払いの手数料や利息も請求対象とされている。
訴状によると、ジェネシスの取締役会は機能しておらず、DCG側の意向で独断的に意思決定が行われていた。2022年第2四半期および第3四半期末には、同CEOを含む幹部3名によって架空取引が計画され、DCGがジェネシスに支援しているように見せかけたとされる。
ジェネシスは、流動性の低いグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)株を担保として受け入れざるを得なかったうえ、DCGによって再販も禁じられていたと主張し、これにより、資産評価の著しい低下リスクを負わされていたという。
再建完了後の追加訴訟、企業統治への警鐘
ジェネシスは2023年1月に連邦破産法第11章の適用を申請し、2024年8月に再建を完了。約40億ドル相当の資産が債権者に現金と仮想通貨で分配された。
その中には、ジェミニ・アーン顧客に対する22億ドル分の返済も含まれ、裁判所がDCGの反対を退ける形で承認した。今回の二重提訴は、企業再建後も残る不正行為への責任を問うものであり、仮想通貨業界における親子会社間のガバナンス不在と経営の透明性欠如に一石を投じる事例となっている。