SECビットコインETF偽横行のエリック・カウンシル・ジュニア被告に懲役14カ月の判決
エリック・カウンシル・ジュニア(Eric Council Jr.)は、SEC(米国証券取引委員会)のXアカウントハッキングに関与したとして懲役14カ月の判決をくだした。
連邦判事は、SECのXアカウントにビットコインETF(Bitcoin/BTC上場投資信託)承認に関する偽の発表をもたらしたSIMスワップ攻撃に関与し、Xアカウントの不正乗っ取りを助長したとして、エリック・カウンシル・ジュニアに懲役14カ月の判決を下した。このハッキングにより、偽ビットコインETFの発表が行われ、市場の変動を引き起こした。
今判決は、コロンビア特別区連邦地方裁判所での審理を受けて下され、カウンシル被告は、加重個人情報窃盗およびアクセスデバイス詐欺の共謀罪を認めており、刑期を終えた後は、3年間の保護観察処分となる。
当NEXTMONEYの2025年5月14日付特集記事「SEC Xアカウントハッキング事件、ハッカーのエリック・カウンシル・ジュニア氏に懲役2年を求刑」で報じたように、検察は、同被告の行為が「市場の健全性を脅かした」として、懲役2年の刑を求めた。一方の弁護団側は、より軽い1年1日の刑期を求刑し、裁判所は14カ月で和解した。
事件の経緯
今事件は、2024年初頭に発生したSIMスワップ攻撃に端を発しており、アラバマ州アセンズ出身の26歳の同被告は、他の者と共謀してSECの公式Xアカウント(@SECgov)に対してSIMスワップ攻撃を実行。
同年1月9日頃、同被告は偽造IDを使ってAT&Tストアの顧客になりすまし、SECの携帯電話番号に紐付けられたSIMカードを入手。同被告はその後、新しいiPhoneを使ってSIMカードを有効化させ、SECのXアカウントのパスワードリセットコードを入手。その後、パスワードリセットコードを入手し、共謀者たちと共有した。
リセットコードを使って、同被告のパートナーの1人がSECのXアカウントへのアクセスに成功し、SECがスポットビットコインETFを承認したという虚偽の発表。この投稿により、ビットコインの価格は数分で1,000ドル(約145,000円)以上急騰したが、SECが侵害について釈明した後、2,000ドル(29万円)以上急落。
このハッキングは、SECが米初のスポットビットコインETFの承認をした1日前に発生した。なお、同被告は2024年10月に逮捕されている。ビットコイン価格変動を直接引き起こした投稿を同被告がしたわけではないが、検察は同被告がこの計画を成功させる上で重要な役割を果たしたと述べた。今判決に際してFBIワシントン支局のスティーブン・J・ジェンセン(Steven J. Jensen.)副局長は次のように語っている。
カウンシルは、SIMスワップと個人情報窃盗を大胆に利用してビットコイン市場を操作し、自身と共謀者の私腹を肥やそうとした。判決は、デジタル詐欺の匿名性を悪用して公開市場を悪用する者たちが、FBIによって正体を暴かれ、裁きを受けることを示している。