BitMEXにマネーロンダリング防止法違反による1億ドルの罰金
BitMEX(ビットメックス)は、米国のAML(マネーロンダリング防止法)およびBSA(銀行秘密法)違反により、1億ドル(約155.6億円)の罰金を科された。
これは、同取引所がKYC(顧客確認)手続きを怠り、不正な金融取引を可能にしたことが原因だ。今回の処分は、CFTC(米国商品先物取引委員会)とDOJ(米国司法省)が進めた調査の結果であり、仮想通貨業界全体への影響が懸念されている。
規制違反の詳細
BitMEXは2014年の設立以来、従来の金融規制を回避する形でサービスを展開しており、KYCおよびAMLの不備が指摘され、これにより匿名性の高い取引が可能になり、不正資金の流通を助長したと批判を受けている。
調査によると、BitMEXはユーザーの身元確認を実施せず、米国内の取引を制限するための措置も十分ではなかったという。また、顧客データの記録保持や異常な取引パターンの監視といった基本的な要件も満たしていなかった。
罰金と法的措置の詳細
ニューヨーク連邦裁判所は、BitMEXに対し1億ドルの罰金を科したほか、共同創業者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏、ベンジャミン・デロ(Benjamin Delo)氏、サミュエル・リード(Samuel Reed)氏の3名に対しては、3,000万ドル(約46.7億円)の罰金と保護観察処分が言い渡された。
BitMEXの親会社HDR Global Trading Limitedにも2年間の監視なしの保護観察と1億ドルの罰金が課されている。この判決は、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のジョン・コールトル判事によってくだされ、BSA違反に関する刑事事件に終止符を打つ形となった。
BitMEX側の反応と声明
判決を受けてBitMEXは、1億ドルの罰金を認める一方で、DOJが当初求めた4億1,700万ドル(約649億円)の罰金よりも大幅に減額された点を強調したうえで、次のように述べている。
罰金には失望しているが、この解決を前進する機会と捉えている。
また、同取引所は2021年にも同様の違反行為でCFTCと1億ドルの民事和解を成立させており、仮想通貨業界全体に規制当局が厳格な姿勢を取る兆候を示している。
今後の影響と規制の強化
今回の裁定は、仮想通貨取引所が規制を無視した場合に直面する深刻なリスクを浮き彫りにした。
他の取引所にも同様の処分が下る可能性があり、業界全体が規制順守を迫られる状況が続くと予測される。グローバルな規制環境の強化により、仮想通貨市場での透明性向上と健全な発展が期待されるが、その実現には各取引所の継続的な取り組みが求められる。この裁定を契機に、仮想通貨業界全体が規制順守を強化し、より透明性の高い市場を目指すべき時代に突入したと言える。