ゴールドマン・サックスCEO、ビットコインとイーサリアムの取引に前向き発言
ゴールドマン・サックス（Goldman Sachs）のデビッド・ソロモン（David Solomon）CEO（最高経営責任者）は、ドナルド・トランプ（Donald Trump）次期政権下で米国の規制が進化すれば、同社はビットコイン（Bitcoin/BTC）とイーサリアム（Ethereum/ETH）の取引を検討する可能性があると市場調査に関心を示した。
ロイター・ネクスト（the Reuters Next conference）で講演した同CEOは、現行法では同社の仮想通貨市場への参加が制限されているが、それでも同氏は、行が規制環境の進化を注意深く監視しており、将来の変更で機会が生まれる可能性があると説明したうえで、ビットコインのスポット取引について尋ねられた際、次のように述べている。
規制構造が変われば、それを評価するが、現時点では許可されていない
次期政権下での規制の変化に楽観的
同CEOは、デジタル資産への関心が高まっていることを認めているものの、その投機的な性質について警告している。
同社は2021年に仮想通貨デスクを立ち上げ、それ以来、機関投資家向けにカントン・ネットワーク（Canton Network）などのブロックチェーンソリューションをテストしてきた実績を有している。
仮想通貨業界は、トランプ次期大統領がビットコインの採用を支援し、「オペレーション・チョーク・ポイント2.0（Operation Choke Point 2.0.）」などの制限措置を終わらせると公約したことを受けて、規制の変化に楽観的だ。ビットコインの価格は最近10万ドルを超え、企業は予想される規制環境下でより多くの仮想通貨ETF（上場投資信託）の承認を求めている。
シティ（Citi）、ゴールドマン・サックス（Goldman Sachs）、UBS、シタデル（Citadel）はすでにJPモルガン（JP Morgan）とジェーン・ストリート（Jane Street）に加わり、ブラックロック（BlackRock）のビットコインETFの公認参加者となっている。これらの企業はETFの裏付け資産（=ビットコイン）を取得し、ETFの株式の流動性を生み出し、提供する役割を担っており、公認参加者はETF業界で重要な役割を果たし、ETFの株式発行と償還を担当。これによってETFが裏付け資産と密接に取引されることが保証される。
これらの企業が公認参加者として公認される時期については憶測が飛び交っており、仮想通貨セクターに対する姿勢の変化を示唆する声もある。
ブルームバーグ（Bloomberg）のシニアアナリストであるエリック・バルチュナス（Eric Balchunas）氏は、これらの機関は以前からひそかにETFに流動性を提供してきたが、業界の汚名を恐れてその関与を公表したがらなかったのではないかと推測。同氏は、ビットコインおよびスポットビットコインETFの最近の成功が見方の変化に寄与し、これらの企業が仮想通貨投資との関わりに安心感を抱くようになった可能性があると指摘している。
伝統的な金融の転換点
ゴールドマン・サックスがビットコインとイーサリアム市場に参入する可能性は、暗号通貨エコシステム全体にとって重要なシグナルとなり、3兆ドル（約455兆円）以上の資産を運用する世界有数の資産運用会社である同社にとっての転機となる可能性がある。
実際、この分野はしばらくの間、伝統的な金融機関からのより大きな正当性を求めており、ゴールドマン・サックスのような巨大企業が採用することで、さらなる機関投資への扉が開かれる可能性があることは明白だ。
近年、仮想通貨の世界は急成長を遂げ、個人投資家だけでなく投資ファンドやテクノロジー企業をも惹きつけている。しかし、独自規制がないことにより、既存金融大手の参入が妨げられ、市場はより小規模で革新的なプレーヤーに支配されているのが現状だ。
米国やEU（欧州連合）などの国々は、ゴールドマンサックスなどの企業を誘致するために必要な法的確実性を提供できる規制枠組みに取り組んでいる。同社によると、これらの市場への参入は、提供品目の多様化のほか、新たなビジネスモデルを模索する機会にもなる。
世界レベルでも、多くの国がデジタル資産に関する特定の法律の策定の初期段階にある中でのソロモン氏の発言は、ますます多くの企業がデジタル資産が提供する機会を模索している金融セクターのより広範な傾向を反映。現時点ですべては規制枠組みがどのように機能するかにかかっており、同氏は「当社のアプローチは慎重ですが、オープンです」と、状況が好転したときにチャンスをつかむ準備ができていると明言している。
