ロシアの議員が提案するビットコイン戦略の狙いとは

ロシアのクレムリンとビットコインのロゴを組み合わせた暗号通貨を象徴するイラスト

ロシアの議員が、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を国家の準備資産として採用する提案を発表した。この提案は、世界的なインフレリスクや地政学的な緊張を背景に、デジタル通貨を活用した経済安定の可能性を探るものだ。

経済戦略としてのビットコイン採用の意義

ノヴィエ・リュディ党の下院議員アントン・トカチェフ(Anton Tkachev)氏は、アントン・シルアノフ(Anton Siluanov)財務大臣に正式な嘆願書を提出し、法定通貨の従来の国家準備金と同様のビットコイン準備金の設立を提案した。この提案は、ロシアが制裁により国際金融システムへのアクセスが制限される状況下で出された。

この提案は、ロシアのプーチン大統領が「BTC は決して禁止されない」と述べてビットコインへの支持を表明してからわずか 1 週間後に出された。この発言は、ビットコインと仮想通貨に対するロシアのアプローチにおける重要な政策転換を示している。

トカチェフ氏は、従来の外貨準備高は制裁、インフレ、変動の影響を受けやすく、ロシアの財政安定を脅かす可能性があると強調している。同氏はまた、現代の課題には、個々の国に依存しないビットコインなどの暗号資産に言及し、新たな決済処理システムと代替の準備金保管ツールの導入が必要であると指摘している。

さらに、彼はビットコインの価格が2024年12月に10万ドルに達すると予測し、その価値の保存と投資資産の両方としての可能性を強調した。本稿執筆時点では、ビットコインは96,500ドルで取引されており、最近の最高値103,000ドルを下回っている。

ロシアの仮想通貨規制の変更

ロシアは以前は仮想通貨に対して慎重だったが、最近はより進歩的な規制に向けて前進している。例えば、政府は仮想通貨セクターを付加価値税(VAT)から免除しているが、仮想通貨活動による利益には依然として15%の個人所得税が課せられる。

さらに、ロシアはわずかな例外を除いて仮想通貨のマイニングを合法化しており、仮想通貨経済への関与意欲が高まっていることを示唆している。

国際社会で進むデジタル通貨への移行

ロシアの提案は、他国でも進行中のデジタル通貨や仮想通貨の採用トレンドと一致している。例えば、エルサルバドルはビットコインを法定通貨として採用し、中央アフリカ共和国も同様の動きを見せている。

一方で、多くの先進国はデジタル通貨をCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の形で模索しており、ビットコインのような非中央集権型通貨の採用には慎重な姿勢を取っている。

国家準備資産としてのビットコインの可能性と課題

ビットコインを準備資産とすることで、ロシアは次のような利点を得られる可能性がある。

  • 分散型技術による制裁リスクの軽減
  • インフレヘッジとしての資産価値の維持
  • 金融システムの多様化による経済の安定化

しかし、ビットコインの価格変動性や規制の不確実性は、準備資産としての採用における主なリスクとして挙げられる。さらに、国際社会の反発や新たな制裁措置を招く可能性も排除できない。

仮想通貨市場に与える影響と未来への期待

ロシアがビットコインを国家準備資産として採用することが現実となれば、これは仮想通貨市場にとって歴史的な転換点となるだろう。特に、他国の仮想通貨政策に影響を与え、新たな経済ブロックの形成を促進する可能性がある。

ロシア国内での議論や国際的な反応を注視しつつ、ビットコインがどのように国家レベルの戦略に組み込まれるのか、今後も目が離せない。

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム