スウェーデンの中央銀行、リクスバンク、オフライン取引に焦点を当てたEクローナの試験運用を終了

スウェーデンの中央銀行がe-krona の試験運用を終了

スウェーデンの中央銀行であるリクスバンク（Riksbank）は2024年3月20日（水曜日）、e-krona（E-クローナ）パイロット・プロジェクトの第4次報告書と最終報告書を発表し、デジタル通貨のオフライン機能に関する詳細な洞察を示したことが明らかになった。

I e-kronapilotens fjärde rapport har #Riksbanken ytterligare undersökt hur en e-krona kan användas offline. Arbetet med e-kronan fortsätter nu med fokus på utformning och förberedelser inför lagstiftning som kan behövas om en e-krona införs. #CBDC #Ekronahttps://t.co/gt0SuDK9dC

— Sveriges riksbank (@riksbanken) March 20, 2024

同銀行は20日、e-kronaに関する4回目で最後の報告書を発表しており、この報告書では、オフラインの小売取引について、試験段階の第2フェーズで提案したモデルとは異なるモデルが検討されている。このプロジェクトの最終段階は、主にオフラインの取引データを保存するために携帯電話を使用していた第2段階の提案とは異なっており、中央銀行は、オンラインシステム用のシャドーウォレットと決済カードを組み合わせた代替アプローチを採用しているとのこと。

このカードは、支払い手段としても、オフラインの残高調整のための追跡機能としても機能するように設計されており、より利便性が向上しているとのことだ。試験運用では、決済手段への資金の出し入れ、NFC（近距離無線通信）を介した店頭でのオフライン決済、オフラインでのカード間送金、カードの残高と取引量に対する制限の適用という4つの主な使用事例が検討されたとのこと。ペイメントカード・ソリューションへの移行は、安全な取引における携帯電話の限界に対処することを目的としており、オフライン決済におけるセキュリティと使い勝手のバランスに対する懸念を浮き彫りにしている。

オフラインモードにおける具体的な課題

報告書では、特にオフラインモードにおいて、デジタル通貨システムのシームレスな機能を確保するための具体的な課題が指摘されているとのこと。

注目すべき課題のひとつは、シャドーウォレットの流動性を維持するための、取引後のペイメントカードの同期化であり、提案された解決策では、カウンターを使用してオフライン決済の順序を正しく決め、同じe-クローナが複数の取引で悪用されるリプレイ攻撃を防ぐ方法が採用されている。さらに、このパイロット版では、ペイメントカードの取引機能に関する事前定義された制限の必要性に取り組んでおり、これらの制限を変更するには新しいカードを発行する必要があることを示唆している。

ペイメントカードと仲介プラットフォームであるR3のCorda間のセキュリティプロトコルは、デジタル証明書を使用して強化されており、これらの証明書は自己署名されたものだが、報告書は、e-kronaシステムの最終的な展開には、信頼され検証されたインフラが必要であることを示唆。

2020年に開始されたリクスバンクのe-kronaに関する徹底的な調査は、CBDC（中央銀行発行デジタル通貨）を理解し、場合によっては採用するというコミットメントを示している。そのため、この試行プロジェクトから得られた知識は、同行の継続的な研究を強化するものであり、必要な法的同意を得た上でCBDCの研究を進める用意があることを強調している。