ECBはデジタルユーロ向け改善版プライバシー対策を導入へ
ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)は、デジタルユーロ向けにアップグレードされたプライバシー対策を導入し、堅牢なデータ保護とプライバシー基準を保証することを約束した事が明らかになった。
この規制案は、保有限度額と呼ばれるユーザーのデジタルユーロ保有額を確認するための単一のアクセスポイントを確立することを目的としているとのこと。ECB は、EDPB(European Data Protection Board:欧州データ保護委員会)およびEDPS(European Data Protection Supervisor:欧州データ保護監督局)と協力し、厳格な個人データ保護を維持するための推奨事項を発表した。
これらの推奨事項には、重要な個人データのみを処理することに加え、そのようなデータの過度の集中化を回避すること、マネーロンダリング(資金洗浄)防止を目的とした追跡を抑制するためにオンライン取引にいわゆるプライバシーしきい値を導入することが含まれている。
デジタルユーロとは何か
デジタルユーロは、プライバシーとデータ保護を優先しながら、オンラインとオフラインの両方で個人の電子決済を容易にすることを構想している。
2024年1月21日(日曜日)、ECBはオフラインデジタルユーロの開発を進めるために7億ドル(約1049.7億円)以上を割り当てており、ユーロ圏全体のデジタル取引に無料で利用できる欧州の決済手段であるデジタルユーロを立ち上げる広範な戦略の一環と位置付けている。ジョウなポイントは、デジタルユーロインフラストラクチャープロバイダーとして機能するユーロシステムは、デジタルユーロ取引の背後にある身元を識別できず、そのような情報にアクセスできるのは決済サービスプロバイダーだけであるという点だ。
プライバシーに対する懸念が高まる中、ECBがデジタルユーロでプライバシー基準を高めるという取り組みを実施することは、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の支持者にとって歓迎すべき安心材料となっている。デジタルユーロを使用したオフライン取引とは、現金交換の裁量を模倣し、支払者と受取人の間の取引詳細を保護することを目指している。逆に、オンライン取引では、主に決済などの重要な機能のために、ECB が最小限の仮名化データを処理することになり、ユーザーは前例のない情報管理が可能になる。
金融の安定を重視して設計されたデジタルユーロは、競争相手として振る舞うのではなく、“伝統的な銀行機関との互換性を確保する”というECBの意図的な戦略を反映し、公的保有に制限を設けて無利子となる態勢を整えている。
CBDCに対する批判
デジタル通貨の進歩をめぐる興奮の一方で、慎重さを表明する反対の声もまだまだ多い。
欧州議会議員クリスティアン・テルヘシュ(Cristian Terheș)氏などの評論家は、政府による過剰な管理の可能性を危惧しており、デジタル通貨に関連したプライバシー侵害の可能性について懸念を表明している。こうした懸念は、ECBがデジタルの進歩の受け入れと個人の自由と保護の間で板挟みになる際に直面する微妙な課題を浮き彫りにしている。