バイナンスが新しいWeb3ウォレットを開始
大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は、ここ3カ月で市場シェアが弱まるなか、非保管型仮想通貨ウォレットを展開する、最新の企業となることが明らかになった。
#Binance is now your one app for all things Web3.
Our new Web3 Wallet lets you connect DeFi to CeFi in one click.
Try it and let us know what you think.
👉https://t.co/OoxJUABjzU pic.twitter.com/rK3ukNCy8l
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) November 8, 2023
バイナンスは、Web3のすべてに対応する1つのアプリになりました。
新しいWeb3ウォレットでは、ワンクリックでDeFi(分散型金融)をCeFi(中央集権型金融)に接続できます。
試してみて、ご意見をお聞かせください。
2023年11月8日(水曜日)付けのプレスリリースで、同取引所はTrust Wallet(トラストウォレット)のプロダクトエンジニアリングチームと提携し、「Web3 Wallet」と名付けられたソリューションを開発したと発表した。
バイナンスWeb3ウォレットの概要
バイナンスの新しい自己保管型仮想通貨ウォレットは、取引所のインフラに結び付けられ、ユーザーは秘密鍵をエクスポートできないようになっている。
CoinGekoより画像引用
CoinGeckoによると、このソリューションに関するニュースが流れた直後、Trust Walletのネイティブトークントラストウォレット(Trust Wallet/TWT)は1.45ドルまで10%以上急落。なお、11月9日(木曜日)14時時点でのTWT価格は、1TWT=223円(1.5ドル)前後で推移しており、時価総額は282億円を超えている。
プレスリリースによると、バイナンスのウォレットにはマルチパーティ計算技術が組み込まれており、秘密鍵をキーシェアとして知られる3つに分割できるという。このウォレットの背後にあるその他の技術的な詳細は明らかにされておらず、コンセンシス (ConsenSys)がメタマスク(MetaMask)で行ったように、Binanceが連絡先やプロフィール情報など、ユーザー識別に関連するデータを収集するかどうかは不明であるとのこと。
また、トラストウォレットはバイナンスのウォレット開発に協力したが、運用やサービスなどWeb3ウォレットの機能に対するコントロールは、取引所のみが自律的にコントロールする仕組みとなっている。バイナンス地域市場責任者であるリチャード・テン(Richard Teng)氏は、Web3ウォレットは同取引所のセキュリティインフラをベースにしていると述べうえで、次のように語っている。
Web3ウォレットはMPC(Multi-Party Computation)技術を採用しているため、ユーザーは秘密鍵やシードフレーズをエクスポートまたはインポートすることはできません。
登録後はWeb3ウォレットのアドレス変更は不可
バイナンスのWeb3ウォレットの利用規約によると、Web3ウォレットの設定に興味がある人は、KYC(Know Your Customer=本人確認)プロセスを通過して取引所にアカウントを登録する必要がある。
さらに、Web3ウォレットのアドレスは、バイナンスアカウントにバインド(※関連付ける)されるため、作成後にバイナンスWeb3ウォレットのアドレスを変更することはできない仕様となっている。
コンセンシスは2022年11月にプライバシーポリシーの変更を発表。ユーザーが同社のブロックチェーンプロバイダーであるInfura(インフラ)を使ってメタマスク経由でトランザクションを送信する際、IPアドレスやイーサリアム(Ethereum/ETH)ウォレットアドレスなどのプライベートデータを収集していることを明らかにした。
当NEXTMONEYの2023年11月7日付け特集記事「バイナンス(Binance)のCEX市場シェアが縮小」で報じているように、Web3ウォレットのローンチは、2022年後半からバイナンスの取引量が着実に減少しているという報告の中で行われたものだ。仮想通貨関連リサーチを手掛けるKaiko https://www.kaiko.com/ (カイコ)によると、バイナンスでの取引量は2022年12月の74%から2023年10月には50%まで減少しているとのこと。