Celsiusに12億ドルの赤字発覚
仮想通貨融資サービスを提供するCelsius(セルシウス)は、連邦破産法第11条の適用を申請したことで、貸借対照表に12億ドル(約1,658億円)の赤字があることが明らかになった。
Celsiusが破産申請を行った翌日、申請書の分析では、バランスシートに11億9,000万ドル、約12億ドルの赤字が確認された。米・ニュージャージー州に拠点を置く同社は、最近、顧客の資金引き出しを一時停止しており、書類によると、同社は現在、資産43億ドル(約5,942億円)に対し、負債55億ドル(約7,600億円)という途方もない額の負債を抱えている。
Celsiusはシャドーバンクであり顧客資金は戻ってこない可能性も
Celsiusを含む仮想通貨の貸し手は、仮想通貨市場が強気のピーク時に重要な牽引力を集め、高金利と融資の容易さが多くの預金者を引き付けていた。
このような背景によって事業体は、機関投資家からの需要の増加により、デジタル資産を貸し出すことで利益を得ていたものの、彼らのビジネスモデルは仮想通貨市場の低迷の影響を大きく受ける結果となった。実際、Celsiusは、17億5,000万ドル(約2,419億円)の仮想通貨と7億2,000万ドル(約995億円)相当のマイニング資産を持っており、6億ドル(約829億円)相当のセルシウス(Celsius/CEL)トークンを保有していると主張。しかし、市場縮小と価格の下落により、CELの時価総額は1億8,500万ドル(約255.6億円)まで低下している。著名な経済学者であり、長年の仮想通貨批判家であるフランセス・コッポラ(Frances Coppola)氏は、次のように述べている。
Celsiusは資産運用会社ではなく、シャドーバンクです。銀行預金は運用資産おろか、顧客資産でさえありません。したがって、銀行の負債であり、倒産した場合のリスクも十分にあるため、セルシオは利用規約の項目で倒産した場合、顧客は資金のすべて、まったく戻ってこない可能性があります。
というのも、Celsiusの利用規約では、セルシウスの利子付き口座に資金を預けた顧客は、その資金をCelsiusが好きに使えるように貸していることが完全に明言されている。そのため、同社が倒産した場合、顧客はその資金をすべて、あるいはまったく取り戻せないかもしれないと明確に書かれているとのこと。
一方で、仮想通貨業界の専門家は、Celsiusは連邦破産法第11条ではなく、SIPA(Securities Investor Protection Act=証券投資家保護法)を選択すべきだったと指摘しており、SIPの申請があれば、プラットフォーム上の資産の所有権について顧客の助けになっただろうと述べている。