仮想通貨犯罪減少もDeFi犯罪が増加
仮想通貨の盗難やハッキング、仮想通貨を使った詐欺による損失は、昨年45億ドルに達した損失と比較して今年10月までの10カ月で18億ドル減少した。しかしその一方で、10月に熱狂的とも言える注目を集めたDeFi(分散型金融)セクターの犯罪が増加したことがCipherTraceのレポートで判明した。
同レポートによると2020年前半、DeFiはすべての盗難とハッキングの45%を占めており、損失は5,150万ドルにのぼるという。これらの調査結果についてCipherTrace最高経営責任者であるデーブ・ジェバンズ(Dave Jevans)CEOはロイター通信社の取材に対し、次のようにコメント。
私たちが見たのは、仮想通貨取引所や他の仮想通貨ユーザーが、より多くのセキュリティ手順を実装したことです。ユーザーらはガイダンスを取り、資金をよりよく確保するための手順を実行しました。そのため、大規模なハッキングは少なくなりました。
CipherTraceブログより画像引用
CipherTrace社によると、今年のこれまでのところ盗難やハッキングによる損失は、不正流用および詐欺を除いて10月末時点で4億6800万ドルに増加。昨年全体の3億6100万ドルから30%も増加していることが分かった。これらのハッキングの約20%にあたる約9,800万ドル、約103億円は、銀行外融資を容易にするプラットフォームでのトランザクションであるDeFi(分散型金融 )からのものであった。
DeFi Pulse より画像引用
9日(月曜)の時点で、DeFiプラットフォームのローン総数は126億ドル、約1兆3,200億円で、業界サイトのDeFi Pulseデータは、8月の約40億ドルから200%以上増加したことを公表している。
DeFiの急増は、最終的に犯罪ハッカーを引き付けており、今年はこのセクターで最も多くのハッキングをもたらしているこの市場についてCipherTrace社は、2019年のDeFiハッキングはごくわずかだったと述べている。
SEC(Securities and Exchange Commission=アメリカ証券取引委員会)は、脆弱性、ハッキング、攻撃、詐欺、および操作の対象となっているDeFiプロジェクトについて、今年9月18日のパラレルサミット(ParallelSummit)で、SECの仮想通貨の神と呼ばれるヴァレリー・シュチェパニック(Valerie Szczepanik)氏は次のように述べている。
PO市場を取り巻く誇大宣伝に食い込まないでください。誇大広告は詐欺につながります。コードの実装に悪影響を及ぼし、テストが不十分になる可能性があります。業界がそれを正しくするために時間をかけ、規制当局と協力し、それを支援していかなくてはなりません。
CipherTrace社は、DeFiが2017年のICOブームに匹敵する急成長分野の1つになっていることは明らかだが、マネーロンダリングなどのリスクに注意することが重要だとし、DEXには一元化された取引所のように資金を凍結する規制がなく、個々のDeFiプロジェクト自体に依存するしか術はないと説明している。
多くのDeFiプロジェクトが依存するスマートコントラクトのセキュリティを確保するための適切な手順が実行されない場合、DeFiは不十分なAML (Anti-Money Laundering=アンチ―マネーロンダリング)とセキュリティに起因する結果に苦しみ続ける可能性があると指摘している。