トルコ、法定通貨リラの崩壊でビットコインが過去最高価格を更新
世界的な不況やインフレなどの要因により、トルコの法定通貨トルコリラ(TRY)への信用が失われ、トルコリラは今年に入ってから急激に下落している。そんな中、デジタルゴールドと呼ばれるビットコインの需要がトルコ国内で高まり、TRY建てのBTC価格が過去最高価格を更新している。
法定通貨トルコリラの取引ペアに対応する仮想通貨取引所Bitfinex(ビットフィネックス)では、BTC/TRYの取引ペアが2019年6月の最高値を更新し、1BTCあたり約120,00TRYの過去最高値を更新した。このBTCの上昇については、世界的な不況や同国におけるインフレはもちろん、最近の同国第三の都市イズミルで甚大な被害が大きく影響している。
トルコの現状
トルコリラでは現在、円建てで市場最安値を更新し続けている。10月22日から今月3日までに9日間連続で最安値を更新している状況だ。これはトルコ中央銀行による利下げの見送りが発表された後、トルコリラの売りが増加。さらには、トルコ西方での大地震発生により同国第三の都市イズミルで甚大な被害が出ていることから去らなくリラ売りが続いている状態だ。
また同国の投資家についても、リラから米ドルや金(GOLD)など価格変動が少ない資産へと移動を初めている。
実際に今年8月、ロイターはトルコ国民が使用してきたトルコリラへの信頼が大幅に下落し、地元住民が既にリラを放棄し、ドルに資産を交換した後、金を購入していることを報じた。またトルコの市場介入や政府による金融安定に関する制作が整ったとしても、トルコリラへの信用が回復することは難しい状況であった。
今が最高の投資だと思うので、金を購入するためにドルを交換しました。リラを引き出して金も購入するかもしれませんが、コロナウイルスのために今すぐ銀行に行くのが怖いです。
これらの影響を受けトルコでは、金や米ドルの他通貨として仮想通貨への資産移行はもちろん、その使用率が急上昇している。ブロックチェーン分析企業Chaysisが公開したレポートによると、トルコの仮想通貨の普及率は世界29位まで上昇しており、これは中東のどの地域よりも高い。
パイパーインフレによる経済の不安定に苦しむベネズエラでも同様に、自国の法定通貨からビットコインへの資産移動は加速している。ベネズエラでは、自国のデジタル通貨ペトロを使用することを国が推奨してるが、BTCや金、米ドルと比べると利便性に欠けるため、その需要も増加の一途を辿っている。