PayPalの仮想通貨サービスは来年グローバル化へ
オンライン決済サービスを手掛けるPayPal(ペイパル)が、個人間送金アプリのVenmo(ベンモ)とともに、プラットフォームユーザーに向けた仮想通貨サービスをグローバル展開していく計画を立てていることが分かった。同社は今後、CBDC(Central Bank Digital Currency=中央銀行発行デジタル通貨)を調査する予定だ。
グローバルペイメント大手PayPalのダン・シュルマン(Dan Shulman)CEO(最高経営責任者)は、CBDCをサポートする計画など、2日に実施された2020年第3四半期決算説明会にて、仮想通貨分野に積極的に参入する計画の詳細を明らかにした。
シュルマンCEOは、以下のように今後のデジタル通貨の重要性について述べ、決済および金融サービスセクター内の変化の加速を強調した。
明らかに、世界は物理的なものからデジタルへと急速に移行している。デジタル通貨の重要性が高まり、機能性が高まり、注目度が高まることは間違いない。
CBDCの有用性の形成を支援
同CEOは、CBDCの規模や卓越性を通じて、既存の支払い路線との相互運用性の促進やビジネス間での受け入れ促進など、CBDCの有用性の形成を支援すると述べ、既存の金融システムが多くの人々にとって機能していないと語っている。
私たちのプラットフォームと現在導入しているすべての新しいデジタルインフラストラクチャーは、お金の管理と移動をより効率的、低コスト、そして高速にするのに役立つ。
PayPalは顧客からの仮想通貨サービスに対する需要の高さを強調しており、シュルマンCEOは拠点から新展開していくサービスや機能を提供することを非常に望んでいたことを明かしている。
現在、PayPalの米国を拠点に持つユーザーのわずか10%が仮想通貨サービスにアクセスできるが、米国でまだサービス展開がされていない他域について、「今年中にオンラインを介してサービス展開していくだろう」と述べている。すでに仮想通貨を取引している人々が、仮想通貨への投資で何が起こっているのかを確認するため、1日に複数回もウォレットを開けていると今後の展開の背景も語っている。
さらにシュルマンCEOは、需要に応え、PayPalが毎週課せている仮想通貨購入制限を$ 10,000から$ 15,000に引き上げると発表した。同社の仮想通貨サービスが来年前半にモバイル決済アプリVenmoでリリースされるとともに、海外の顧客にも利用可能になることを明らかにしている。
来年、私たちがいくつかの異なる分野に進出するのを見るでしょう。
デジタル通貨市場への参入へ批判的な声も
ペイパルは、世界で3億5,000万人近いユーザーを抱える巨大企業であり、その影響力やユーザー動員力で仮想通貨市場から歓迎されているが、批判の声も上がっている。
Trezor(トレザー)の開発で知られるサトシ・ラボは、10月21日付のブログ「Why you should not use Paypal for Bitcoin(直訳:ビットコインにPaypalを使用すべきではない理由)」にて、次のように苦言を呈している。
PayPalは混合メッセージを送信する一方で、サービスは完全に管理されユーザーは自分のコインの鍵を持っていない。PayPalがコミュニティに相談せず、ユーザーが自分のキーを制御できるようにしなければ、これらに価値はない。