3億ドルのデジタルポンドが発行される
シンガポールの大手投資持株会社であるシンガポールエクスチェンジ(Singapore Exchange=シンガポール証券取引所)が、ブロックチェーンテクノロジーを搭載した最初のデジタルボンドを発行した。
9月1日に公式に発表されたように、SGXはデジタル資産発行プラットフォームを導入し、4億シンガポールドル(約315億円相当)の主要な地元の食品および農業関連企業であるOlam Internationalに対して5.5年の公債発行を行った。
アジアの債券市場に焦点を当てたこの新デジタル債券は、HSBCシンガポールや投資会社テマセックなど、SGXの確立されたブロックチェーンパートナーとの協力により実現したものだ。HSBCは、複数通貨での即時決済が発行者、アレンジャー、および投資家のカストディアン間の収益を処理できるようにするオンチェーン決済ソリューションを提供している。
デジタルボンドを発行するために、SGXはDAMLを実装しているが、このDAMLは、アメリカのブロックチェーンスタートアップDigital Assetによって開発された主要なスマートコンタクト言語である。SGXのデジタル資産発行プラットフォームはスマートコントラクトに基づいて発行されるため、DAMLにより、会社は債券と債券のライフサイクル全体にわたる発行および資産サービスのための分散ワークフローをモデル化できるようになる。なお、スマートコントラクトにより、プラットフォームは、アレンジャー、預託代理人、弁護士、カストディアンなど、発行と資産サービスに関与する当事者の権利と義務を取得できるという。
SGXによると、新しいブロックチェーン対応プラットフォームの最新のパイロットは、決済リスクの排除や決済時間の5日から2日への短縮などの主要な効率を実証している。最新の債券パイロットは、SGXがHSBCシンガポールおよびテマセックと提携し、2019年11月に債券発行にDLTを使用することを検討した後に行われた。
世界中の多くの企業が、グローバルな債券市場により多くの利益をもたらすためにブロックチェーン技術を実装しようとしている。
2020年7月にフィリピン財務省が、政府発行の国庫債を配布するためのブロックチェーンアプリケーションを立ち上げている。さらに、韓国とタイの当局も債券市場におけるブロックチェーンの潜在的な利益を模索している最中で、現在の仮想通貨市場はDeFiに集中しているが、今後はDeFiからデジタル債券へと流れが変わりそうな気配を見せている。