オーストリアの大手銀行RBIが、国内デジタル通貨を計画

オーストリアの大手銀行RBIが、国内デジタル通貨を計画

オーストラリアの大手投資銀行であるRaiffeisen Bank International(RBI)は、ブロックチェーン技術を利用した新たなデジタル国家通貨の開発計画が進んでいることが明らかとなった。RBIは企業向け分散型台帳技術(DLT)プロバイダーであるBillonと手を組み、試験的な国家通貨の発行を行う。2020年後半までに試験的な運用が開始される予定だが、銀行間や企業間の取引スピードや流動性の改善を目的としているという。

本発表によると、デジタル通貨はRBIとBillonが今年初めに共同研究した「エレベーター・ラボ」プログラムの一環として開発されたものので、Billon独自のブロックチェーン上で発行されているようだ。RBIのブロックチェーン・ハブ責任者であるSetfan Andjelic氏は、以下のように語っている。

「Billonは、銀行とその顧客のニーズに応えるためにブロックチェーンをどのように適応させるかを理解しているフィンテックの好例です。具体的には、COVID-19の状況下では、銀行はフィンテックと提携して、より迅速にイノベーションを起こし、顧客の決済処理や流動性のニーズを支援する必要があります。」

今年末から試験的な導入を開始予定

両者は今年の後半に試験的な導入を目指してきたが、まずはRBIの子会社や機関投資家の顧客などが参加するようだ。RBIの広報担当者はどの銀行が試験に参加するかを決定するため現在協議中であると説明し、「最初のテストではオーストリアと他のRBI子会社との間での送金が対象となる可能性がある」と語った。

JPモルガンも同様のデジタル通貨(JPM Coin)を開発しており、法人顧客の銀行間送金を決済するために利用している。JPモルガンは同取り組みの試験運用を開始しているものの、本運用には至っていない。RBIが計画を進めているデジタル通貨もJPM Coinと似ている性質を持っているため、試験がどのような結果になるか、注目が集まっている。