米主導の平和委員会がデジタル決済基盤の導入可能性を検討
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が率いる米国主導の「BoP(平和委員会)」に助言する当局者が、戦争で深刻な被害を受けたガザ地区の経済再建策の一環として、米ドルに裏付けられたステーブルコインの導入を検討している。
構想は初期段階にあり、制度設計や実装の詳細は確定していないが、金融機能が麻痺した地域での代替決済手段として議論が進められている。
戦後復興資金と連動するデジタル決済構想
2023年以降の戦闘激化により、ガザ地区では銀行インフラが大きく損なわれ、イスラエルの公式通貨であるシェケルへのアクセスも制限されている。
住民は食料や医療物資などの不足に直面し、経済活動は著しく停滞している。BoP加盟国はガザ復興に向け約170億ドル(約2.65兆円)を拠出しており、そのうち約100億ドル(約1.6兆円)を米国が負担している。この資金の一部が、ガザ地区住民にとってデジタル通貨および代替決済手段として機能するステーブルコイン構想に充てられる可能性がある。
構想では、新たな法定通貨を創設するのではなく、米ドルに連動するデジタル決済メカニズムを導入することを想定している。開発面ではイスラエルのテクノロジー起業家リラン・タンクマン(Liran Tancman)氏が主導するとされ、イスラエル政府関係者のほか、パレスチナおよび湾岸アラブ諸国の仮想通貨企業が関与する可能性がある。最終的な規制枠組みやアクセスルールは、BoPと14人で構成されるNCAG(ガザ地区行政国家委員会)が決定する見通しだが、現時点で確定事項はない。
現金依存脱却への期待と分断リスクの懸念
支持者は、デジタル決済の拡大により希少な現金への依存を減らし、ハマスの資金源を制限できる可能性があると指摘している。
協議関係者の一人は、この構想の目的は「ガザから現金を枯渇させること」にあると説明している。また、イスラエル当局による通貨流入管理に過度に依存せず商取引を継続できる点も利点とされる。
一方で、ガザ地区専用のデジタルシステムがヨルダン川西岸地区との経済的な結び付きを弱め、分断を深める可能性があるとの懸念も示されている。ガザ地区は頻繁な停電に見舞われ、低速の2Gネットワークに依存しているため、実装面での課題も指摘される。
また、トランプ大統領が支援するステーブルコイン「USD1」が一時的に米ドルとのペッグを0.6%下回った事例もあり、新たなステーブルコイン構想への関与の在り方については明確になっていない。
ガザ向けドル連動ステーブルコイン案は、戦後経済再建の選択肢の一つとして検討段階にある。制度設計や実効性を巡る議論が今後の焦点となる。
























