ビットコインがイランで急騰|米軍によるイラン空爆が要因か
米国とイランの緊張が高まる中、ビットコイン価格が急騰している。2日のイランにおける米国の空爆を受け、ビットコインの価格は金、原油と同様に4%上昇。取引価格は約10億イラン・リアル(約3万ドル)を突破した。
アメリカ国防総省は、1月2日に書面で出された声明で、米国の指定外国テロ組織であるイスラム革命防衛隊のリーダーを務めるソレイマーニー司令官を空爆により殺害したと発表。空爆の直後に、従来の安全資産とみられていた金、原油の価格が上昇し、ビットコインも同様に6945ドルから7230ドルまで4.1%上昇した。
イランでビットコインの需要が高まる
価格上昇は、イランの法定通貨リアルの水準でより顕著に現れている。P2P(ピアツーピア、個人間)のビットコイン取引プラットフォームであるローカルビットコインズによると、1ビットコインが10億リアルを超える取引が複数出ている。すなわち、イランのビットコイン価格は通常の4倍以上の値をつけたことになる。市場からの反応は、ビットコインが法定通貨に代わる避難資産、世界情勢が不安定な時に買われる投資対象として機能していることを強調している。
イランの世界各国の中でも、ビットコインの浸透率が高く、今回の価格急騰はそのバックグラウンドに裏付けられていると言えそうだ。
資金盗難先はビットコインへ
調査会社ゲート・トレードの調べでは、ペルシャ・テレグラム・グループで調査対象となったイランのビットコイン保有者1650人のうち、回答者の29%が、ビットコインを中心に5000ドル(約54万円)相当以上の仮想通貨を保有。25%が、仮想通貨関連で月500ドルから3000ドル(約5万4000円から32万円)を稼いでいる。
ブロックチェーン分析企業メサーリ創業者のライアン・セルキス氏は、イランの法定通貨であるリアルが下落する中、ビットコインが避難通貨として機能している可能性を指摘した。
「無実の(そして絶望した)イラン人が、来るべきカオスから逃れる方法を探しているのかもしれない」
一方で、ビットコインが安全資産という考え方に懐疑的な見方を向ける有識者もいる。経済学者であり、ビットコインの人気コメンテーターであるアレックス・クルーガーは、ニュースとビットコイン価格の急騰の関係を「全く馬鹿げたこと」と発言。他の安全資産である金、原油の価格が、国防総省がニュースを発表する前に反応していたことを論拠とした。