東京都、独自のデジタル通貨発行へ実証実験

東京都、独自のデジタル通貨発行へ実証実験

東京都の小池百合子知事が3日に開かれた都議会定例会の所信表明で、来年3月までに東京都独自のデジタル通貨を発行するための実証実験を始めることを明らかにしたと、複数メディアが報じている。数年後に、都内全域で発行できるようにする方針という。

現段階の計画では、環境保護や貧困撲滅などの社会貢献をした人に、デジタル通貨をポイントや電子マネーなどの形で付与する。具体的な活動は、通勤ラッシュの緩和につながる時差出勤や小売店への舞バック持参など。実証実験では、法定通貨と互換性のある通貨を売買によって流通、普及させるのではなく、自治体側から付与する形で実導入の可能性を探る模様だ。

駅や商店街などに端末を置き、専用のカードをかざすとデジタル通貨を受け取れる仕組みを想定。実際の店舗の支払いに使ってもらうことを視野に入れているとみられる。ほかのデジタル通貨と同様、QRコード決済が導入されることが想定される。

キャッシュレス社会へ

デジタル通貨発行の背景には、キャッシュレス決済の普及と、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の促進を図る狙いがあると報じられている。実証実験は都内2カ所で行い、民間の決済サービスで利用できるようにするという。通貨の名称は不明だ。実証実験への予算は、約1億円を見込んでいるという。

エリアを限定した地域電子通貨の導入に向けた自治体の実証実験では、埼玉県深谷市がことし5月、「negi(ネギ―)」と呼ばれる電子プレミアム商品券を発行して実現の可能性を探っている。