カナダの小規模仮想通貨取引所が全資産を流出|GOX・逃亡詐欺の疑いか?

2018年仮想通貨取引所へのハッキングにより、相次ぐ仮想通貨流出被害が出ている中、今週日曜日に新たにカナダの仮想通貨取引所がハッキング被害にあったと主張している事がわかった。しかしこれはスキャム(詐欺)だったのではないかと世界中で物議を醸している。

今回被害にあったとされる仮想通貨取引所は、カナダに拠点を置く小規模仮想通貨取引所メープルチェンジ(Maple Change)である。

同仮想通貨取引所は「何者かによるハッキングを受け、保管していた全ての資産が流出した。それにより、弁償に当てるための資金が底をつき取引所の閉鎖を余儀なくされてしまった。そして私たちのすべてのソーシャルメディアも同時に閉鎖する。」と公式ツイッター上で発表。

そして、その公式ツイッターも後に宣言通り閉鎖されている。閉鎖される前の公式ツイッターのフォロワーは約2000人と仮想通貨取引所の公式アカウントとしては決して多いとは言えないフォロワー数であり、アメリカ最大の仮想通貨取引所であるCoinbase(コインベース)の100万フォロワーなのに対し、約500分の1にも満たなかった。

これらメープルチェンジが行ってきた一連の動向から、今回の騒動は顧客を欺き資産を持ち逃げする詐欺(Exit scam(失踪詐欺)だったのではないかとの見方が強まっている。大手仮想通貨メディアであるCCNは、メープルチェンジのサイトが一週間ほど前から急に活発になった事や、取引所を閉鎖するにあたり同時にソーシャルメディアを閉鎖する必要はなかった事、ハッキング被害にあったとの発表から取引所の閉鎖までの時間が短い事などを理由としてあげ、同仮想通貨取引所が巧妙な詐欺行為を働いたのではないかと報道した。

Exit scamとは、はじめに顧客からの信頼を獲得し、顧客の資金を取引所のウォレットなど一箇所に集めた後、時期を見計らい集めた資金を持って逃亡するという手口の詐欺行為である。

この件について仮想通貨アナリストであるジョセフ・ヤン(Joseph Young)氏はツイッター上で、「今回の一件はExit scamである事は明らかである。」と指摘している。また、「規模の小さい仮想通貨取引所を利用するメリットはなく、透明性が高くしっかりと規制が敷かれている仮想通貨取引所を利用するべきである。」と注意も促した。

また世界的に有名な大手仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)のCEOであるジャオ・チャンポン氏(Changpeng Zhao)もこの件に関してツイッター上で「コールドウォレットを使用していない仮想通貨取引所の利用は避けるべきだ。」とコメントをしている。

仮想通貨の取引所は、多くの顧客の資産を保管している為ハッキング行為などの標的になりやすい。その為セキュリティ強化のためにネットと接続されていないコールドウォレットを通常併用するが、今回メープルチェンジがコールドウォレットを利用していなかった様にセキュリティ対策が万全に行なわれていない時点で利用者は注意する必要があり、仮にセキュリティ対策が万全に行われていない状況での資金流出被害などは疑問視される事となり、詐欺事件であると考えられる事になる。

ハッキングによる資金流出など、仮想通貨取引所には多くのトラブルが付きまとっており、今回のような事案は今後ほかの仮想通貨取引所でも起こりうると言えるだろう。

利用者はトラブルに巻き込まれないためにも、自身でセキュリティ対策に長けており、また信頼も置ける仮想通貨取引所を選択する必要があると言える。

また今後、仮想通貨取引所設立に関する法規制が、これまで以上に厳しく制定されていくことで、今回のようなトラブルが二度と起こらなくなることが期待される。