シンガポール国内に北朝鮮の仮想通貨詐欺に協力者がいると発表

米国のサイバーセキュリティシステムの提供や、人工知能を利用した未来予測サービスの提供などを行う企業であるRecorded Fu

ture(レコーディド フューチャー)社の調査によると、米国による経済制裁を回避するために北朝鮮の政府は、シンガポール国内の北朝鮮関係者や協力者達と共に仮想通貨を使用しているようである。

Recorded Future社は2009年に米国のマサチューセッツ州でChristopher Ahlberg(クリストファー アルバーグ)氏によって創設された企業であり、データ分析に加え、ウェブ上に存在する膨大な量の情報を過去から現在まで集積し、その蓄積された情報を人工知能を使い分析して未来を予測するサービスも提供を行っている。Recorded Future社に対しては、Google社のベンチャー投資部門や、CIA由来のベンチャー投資部門であるIn-Q-Telも投資を行っている。

当サイトでも以前報じているが、米国ワシントンを拠点とする金融インテリジェンス専門家であるLourdes C. Miranda(ローズ C ミランダ)氏とRoss Delston(ロス デルストン)氏は、北朝鮮政府は仮想通貨を利用することで、米港主導で行われている経済制裁を回避していると述べている。また仮想通貨詐欺を通して資金調達を行っているとも発言していた。

金融インテリジェンス専門家が北朝鮮による仮想通貨を利用した外貨獲得方法について言及

2018.10.02

また今月の初めには、「Lazarus(ラザルス)」と呼ばれる北朝鮮によるハッカーの集団が、通算で盗んだ仮想通貨の総額は日本円にして約640億円以上であるという報道もされていた。

北朝鮮との繋がりが指摘されるハッカー集団「ラザルス」は2017年から5回の攻撃で5億ドル以上を盗難

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今回のRecorde Future社の調査発表によると、北朝鮮政府の幹部らはBTC(ビットコイン)やXMR(モネロ)の小規模なマイニングも行っており、北朝鮮による仮想通貨での投資詐欺を目的とした活動は、仮想通貨業界だけでなく、世界中で不安視されている。

北朝鮮によるスキャムと見られているプロジェクトにはMarine Chain(マリン チェーン)やHOLDコインの名前が挙がっており、とくにMarine Chainではハイレベルな詐欺の手法が使われており、国連による経済政策を北朝鮮政府が回避するための一角を担っていたとされている。

Marine Chainは海洋船舶を複数の保有者や利用者間で共有するため、海洋船舶をトークン化したとされているが、既にカナダのオントリオ州によって詐欺的であると判断されている。

Marine ChainのCEOを務めるFoong Kah Keong氏と、北朝鮮の経済制裁回避への支援が疑われている企業との間には、繋がりがあるともされており、これらの企業は北朝鮮による交易を支援するため、3か国の便宜置籍船を与え、支援を行っていたと見られている。

このことからもFoong氏は、仮想通貨詐欺を行うために雇われたのではなく、経済制裁から北朝鮮政府が回避するための役割を担っていたと考えられ、同氏は北朝鮮政府における、経済制裁回避のキーマンである可能性が浮上している。

仮想通貨やブロックチェーン技術の進歩は我々の生活において多くの利便性を打ち出しているが、法規制等の整備がまだ進んでないこともあり、仮想通貨を利用してのマネーロンダリングや詐欺など多くの犯罪の温床となっているという側面もあると言えるだろう。こういった問題に対しどのように対策していくかは、今後の仮想通貨の発展において避けては通れない問題と言えそうである。