米国ワシントンを拠点としている金融インテリジェンスの専門家2人が、北朝鮮が仮想通貨を使用した外貨の獲得方法に関して述べていることが分かった。今回の調査で北朝鮮に獲得された外貨は北朝鮮によって、核開発の開発資金へと充てられていると考えられている。
ミランダフィンインテルコンサルティング社(MirandaFinIntel Consulting)の経営パートナーを務めるローズ・C・ミランダ(Lourdes C. Miranda)氏とミランダ氏の友人である、公認反マネーロンダリング専門家のロス デルストン(Ross Delston)氏の2人は、北朝鮮が米国主導によって行われる経済制裁を回避するために仮想通貨を利用することが非常に増えていると話した。
ミランダ氏は、「既存の仮想通貨での取引及び、独自仮想通貨の開発」を北朝鮮が行っていると話している。また、デルストン氏も取材に対し書面で回答しており「多くの国際的な犯罪者たちと同じように、北朝鮮も仮想通貨を好んで利用している。」と述べている。
また両氏は取材に対し次のように続けている。
「米国と銀行取引関係がある国際的な金融機関を悪用することによって、マネーロンダリングサイクルを使って、複数の仮想通貨取引所を用いるミキシングやシフティングをより簡単に行えるようにしてしまった。」
「既に北朝鮮は独自仮想通貨を作成することや、BTC(ビットコイン)など既存の仮想通貨を使う意能力はあり、また独自仮想通貨を発行することにより、匿名通信等を利用し、自らの位置情報などの個人情報を隠したまま、非敵対国家に成りすましインターネット上でアカウントを開設するなどの技術開発にも繋がっていくだろう。」
更に両氏は、「北朝鮮が独自仮想通貨を発行し、世界中の仮想通貨取引所に独自仮想通貨のウォレットを持ち、仮想通貨の送金を何度も行えば、経済及び、貿易制裁の回避が可能である。」とも明かしており、オンライン上の仮想通貨ウォレットの多くは、個人を特定するために必要な情報であるPIIが必要ないため、簡単に仮想通貨の送金をすることが可能であれば、ヨーロッパ等に拠点を持ち、合法的なPIIを所有する協力者へ仮想通貨を送金することによって、不正にマネーロンダリングを行うことが可能であると両氏は述べた。
また両氏は、「北朝鮮の協力者が、米国の金融機関を利用して仮想通貨のミキシング、シフティング及び、交換を行うことによってマネーロンダリングが可能だ。」とも述べている。
北朝鮮は、複数の国際的なミキシングサービスを使うことで獲得したBTCを複数の仮想通貨銘柄へと分散させた後、シフティングサービスを利用して、分散させた仮想通貨銘柄とBTCを交換していると伝えられている。
このプロセスを使用することにより、ブロックチェンのネットワーク上にあるトランザクションのパターンを破り、資金源がどこであるかの隠蔽が可能になると両氏は述べている。つまり「ミキシング」及び、「シフティング」が可能であれば、獲得した仮想通貨を法定通貨への交換は簡単にできるということである。
北朝鮮によるハッキングや、仮想通貨を利用したマネーロンダリングに関しては以前から話題となってきていたが、今回の両氏の発表によってその手法の一部が明るみとなった。仮想通貨及び、ブロックチェーン産業の更なる発展のためにもこのような不正に対応する対策作りや、規則の制定が望まれている。