ギリシャ議会が暗号資産への課税枠組みを可決、10%税率を適用
ギリシャ議会は2026年11月5日(木曜日)、暗号資産の投資利益に対する新たな課税法案を承認したことが分かった。これにより、同国初となる包括的な暗号資産課税システムが導入されることになる。
新税制では年間500ユーロ(約88,000円)までの利益に対して免税措置が設けられるほか、当初検討されていた15%の税率提案から5ポイント引き下げられた10%で最終合意に達した。
当局は投資家の多くが海外の暗号資産プラットフォームを利用している背景から、正確な市場規模や想定税収額の試算を見送っている。透明性の維持や具体的な調査指針といった詳細な運用ルールについては、財務省から今後数週間以内に発表される見通しだ。
利益の算出基準と非課税・免税の適用ルール
暗号資産の売却や譲渡で発生した純利益が課税対象となり、取得価額と売却価額の差額から算出される。過去に複数回にわたり買い増しを行ったケースでは平均取得単価が適用され、取引にかかった手数料などの経費は利益から控除可能だ。また、今回の法案には以下の重要な取り扱いが含まれている。
暗号資産同士の交換:
仮想通貨間で銘柄を組み替える取引(スワップ)は譲渡益の確定とみなされず、非課税取引として扱われる。
決済および企業出資:
暗号資産をそのまま商品やサービスの支払いに利用した場合や、会社の資本金として出資した場合は利益確定と判定される。
損失の繰越控除:
500ユーロを超える損失が発生した年度については、最大5年間にわたり将来の暗号資産利益と相殺することができる。
なお、単に資産を保有しているだけで市場価格が上昇した未実現利益(含み益)に対しては課税されない。また、従業員給与や贈与・相続によって取得したトークンは、受取時点や主要取引所の前日終値といった市場価値を基準に評価される。
ステーキング収益の別枠課税と資金源の確認義務
取引によるキャピタルゲインとは異なり、資産の貸し出し(レンディング)や検証作業への参加(ステーキング、流動性提供)から得られるインカムゲインは「利子所得」として分類される。そのため、通常の売買利益に適用される10%ではなく、15%の税率が課される点に留意が必要だ。一方、法人のマイニング事業は課税対象だが、個人のマイニング作業で得た収益は本課税の対象外とされている。
また、新ルールでは暗号資産の購入行為自体が既存の資金源確認(オーディット・トレイル)の監視下に入る。購入資金が正規に申告された所得から出ているかを証明する義務が生じる仕組みだ。新制度の施行に伴い、公布から12カ月間は過去の取引利益をペナルティなしで自主申告できる経過措置も用意されている。
EU市場における位置づけと国際的な報告規則DAC8
暗号資産の税率はEU(欧州連合)各国で異なっており、キプロスの8%からフランスの30%まで幅広く存在する。ギリシャが設定した10%という税率は、EU域内でも比較的低い水準だ。
さらに、EU全体では暗号資産サービスプロバイダーに対し、居住者の取引データを各国の税務当局へ報告させるDAC8(第8次行政協力指令)の適用が進められている。同規則はOECDのCARF(暗号資産報告フレームワーク)に準拠したもので、国境を越えた取引の透明性を高める狙いがある。海外取引所を利用する投資家が増加する中、各国の税務署がデータをいかに取得し実効性を確保するかが今後の焦点となる。
























