Fireblocks、Visaとの25億ドル買収交渉報道に異議・否定

FireblocksがVisaとの買収交渉報道に異議・否定

暗号資産の保管およびインフラ構築を手がけるFireblocks(ファイアブロックス)は、大手決済企業Visa(ビザ)による買収交渉報道について事実無根であると否定したことがあきらかになった。

米国メディアAxiosなどが両社による買収合意が目前に迫っていると報じたのに対し、同社広報は「うわさは認識しているが初耳であり、事実に反する」とコメントした。決済業界では現在、ステーブルコイン領域を巡るし烈な市場争奪戦が激化している。

評価額のギャップと取り沙汰されるさまざまなうわさ

報道では今回の買収提示額が約25億ドル(約3,904.8億円規模)と伝えられたが、これは同社が2022年の資金調達時に記録した企業評価額80億ドルを大幅に下回る水準だ。この売却のうわさを巡っては、過去に大手暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)などの名前も買い手候補として挙がっていたが、Coinbase側も既に関与を否定している。

2018年にサイバーセキュリティの専門家らによって立ち上げられた同社は、金融機関が安全にデジタル資産を運用・管理するための高度な技術基盤を提供している。BNYメロンなどの世界的金融機関やフィンテック企業を顧客に抱え、これまでに数兆ドル規模の取引を支えてきた実績を持つ。近年では会計・監査機能の統合や独自のステーブルコイン決済網の立ち上げなど、事業の多様化を進めている。

加速する大手決済企業のステーブルコイン取り込み

今回のうわさの背景には、既存の決済大手がブロックチェーン技術の統合を急速に進めている現状がある。ゼロから自社で基盤を構築する代わりに、実績のあるインフラ企業を買収・提携によって獲得する動きが一般的になりつつある。

競合であるMastercard(マスターカード)は、インフラ企業のBVNKを約18億ドル(約2,810億円)で買収し、ライセンスや技術基盤を吸収。対するVisaもブロックチェーン活用の拡大を図っており、2026年には年間ステーブルコイン精算額が200億ドル(約3.1兆円)を突破するなど前年比15倍以上の急成長を見せている。

また、ZeroHash(ゼロ・ハッシュ)との提携による新機能追加やTempo(テンポ)ブロックチェーンへの参画など、決済ネットワークの次世代化に向けた取り組みを精力的に進めている。

次世代決済インフラを巡る主導権争い

大手カード会社だけでなく、Circle(サークル)やTether(テザー)といったステーブルコイン発行企業、各種インフラ企業が絡み合い、デジタル通貨領域でのポジション確保に向けた動きはさらに過熱している。

Fireblocksによる買収報道の否定により、今回の一件は一旦鎮火した格好となったが、ステーブルコインが従来の金融システムへ深く浸透する中で、Web3企業と金融インフラ大手の提携・M&Aを巡る動向からは今後も目が離せない。

 

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