バイナンス、イラン制裁違反の疑いで米司法省などの捜査に直面

バイナンスが米国司法省などの捜査に直面

世界最大の暗号資産取引所であるバイナンス(Binance)が、再び米国の規制当局による厳しい監視の目にさらされていることが分かった

米国連邦検察当局は、同取引所がイランに対する経済制裁に違反する取引を意図的に容認していたかどうかの調査に着手した。これは、イランの闇市場における石油販売に関連する巨額の資産没収請求の動きとも重なっており、同社のコンプライアンス体制が改めて問われている。

米検察当局による調査の焦点

マンハッタンの連邦検事局が主導し、ワシントンの司法省刑事局も関与している今回の調査では、バイナンスがプラットフォーム上での特定の取引を認識しながらも阻止せず、結果としてイランに対する制裁に違反したかどうかが精査されている。

調査対象となっている具体的な取引や経緯の詳細は公表されておらず、司法省による調査が必ずしも刑事訴追に発展するとは限らない。これに対し、バイナンス側は制裁違反に対してゼロ・トレランス(Zero Tolerance:無寛容、一切容認しない)の方針を掲げていると主張。法執行機関へ全面的に協力している姿勢を強調している。また、悪質な利用者の特定と排除に向けた取り組みを継続していると説明している。

6,100万ドルの資産没収申し立てとイラン関連資金

今回の調査とは別に、マンハッタンの検察当局は2026年9月14日(月曜日)の法的手続きにおいて、6,100万ドル(約96億円)の資産没収を求めている

検察側の主張によると、この資金はイランの闇市場における石油販売で得られたものであり、事業内容を偽った香港登記の2社(Blessed TrustおよびHexa Whaleとされる)を経由してバイナンスのプラットフォームを通過したとされている。

この没収申し立てにおいて検察当局は、バイナンス自体の不正行為を直接指摘しているわけではなく、リチャード・テン(Richard Teng)CEO(最高経営責任者)も同取引所に不正はなく訴訟も提起されていないと述べている。

しかし、ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)の報告等でも指摘されている通り、イランの暗号資産エコシステムやIRGC(イスラム革命防衛隊)の活動を支援するネットワークとのつながりが水面下で厳しく追跡されており、米国政府によるイランのデジタル資産セクターに対する包囲網は着実に狭まっている。

過去の和解とコンプライアンス体制の行方

バイナンスを巡っては、2023年にマネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反や無許可送金、制裁違反の罪を認めて約43億ドル(約6,777.8億円)の支払いに合意した経緯がある。

当時の司法取引に伴い、同社は2名の独立した企業監視人(モニター)を受け入れ、コンプライアンスの刷新を進めてきた。直近では全従業員の4分の1以上に相当する1,500人以上をコンプライアンス業務に配置するなど、組織体制の強化をアピールしている。

一方で、社内での調査員の解雇を巡る一連の報道や、ECB(欧州中央銀行)などの主要当局による警戒感など、国内外で規制上の逆風が完全に和らいだとは言えない。バイナンスが業界トップとしての市場シェアを維持する中、今回の新たな司法省による調査が今後の経営やグローバル展開にどのような影を落とすのか、引き続き高い関心が集まっている。

 

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