Robinhoodのエンジニア、未公開仮想通貨上場情報を悪用し起訴

Robinhoodのエンジニアが未公開仮想通貨上場情報を悪用し起訴される

米国の連邦検察当局は、大手金融プラットフォームRobinhood(ロビンフッド)の元エンジニア2名を、暗号資産の新規上場に関する機密情報を不正に利用したとして訴追した。

被告らは、社内でのアクセス権限を利用して非公開の上場予定情報を入手。それを元に外部の分散型デリバティブ取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)で利益を得ていたとされている。

暗号資産市場におけるインサイダー取引の手口がより複雑化・多様化している実態が浮き彫りになり、業界全体のコンプライアンス体制や監視強化への圧力が一段と高まっている。

無期限先物取引への機密情報の悪用と司法当局の姿勢

司法省の発表によると、訴追されたのはRobinhoodのエンジニアであったヘフ・チャイ(Hefu Chai)氏とシアン・フアイソン(Huaisong Xiang)氏の両名だ。

彼らは、Robinhood Cryptoが取り扱いを計画している暗号資産に関する非公開情報へアクセスできる立場にあった。検察側は、公式発表が行われる前に両名がHyperliquid上で無期限先物(パーペチュアル・フューチャーズ)のポジションを保有し、合計で5万ドル(約787万円)以上の利益を不正に得たと主張している。

無期限先物とは、満期日が存在せず実資産を保有せずに価格変動を対象に投機的な取引ができる金融商品のことで、両エンジニアは商品取引法違反(最高刑:懲役10年)および通信詐欺(最高刑:懲役20年)の罪でそれぞれ訴追された。

連邦検事のジェイミー・マクドナルド(Jamie MacDonald)氏は、「デリバティブ取引を利用したからといって、インサイダー取引の疑いがある行為が既存法の適用範囲外になるわけではない」と強調。企業の内部者が不正情報を用いて金融商品取引を行う行為に対して厳格に対処する姿勢を示している。

現物取引から分散型デリバティブ市場への移行と手法の変化

今回の件は、2022年にCoinbase(コインベース)の元プロダクトマネージャーが上場予定情報を漏えいして起訴された事件を想起させるが、そこには明確な違いが存在する。

この件では、トークンの直接購入(現物取引)が行われたのに対し、今回のチャイ氏らは、通常の本人確認(KYC)が適用されにくいHyperliquid上のレバレッジ・デリバティブ取引を利用している。当時のHyperliquidは急速に市場シェアを拡大しており、2025年の年間取引高は2兆7,600億ドル(約4343.6兆円)に達し、オンチェーン無期限先物市場のトップに君臨していた。

専門家の研究によると、トップクラスの取引所への上場は価格に大きな異常リターンをもたらすため、上場前の情報を事前に得ることが市場において圧倒的な優位性をもたらす。また、Solidus Labs(ソリダス・ラボ)の調査でも、多くのトークン上場案件においてDEX(分散型取引所)を介したインサイダー取引の兆候が確認されており、市場の隠れたリスクとなっている。

取引所を取り巻く自主規制の強化と今後の課題

Robinhood自体はこの不正行為で告発されているわけではなく、同社はすでに厳格なインサイダー取引ポリシーを策定し、内外を問わず関連金融商品の取引を禁止している。しかし、最大の課題は、自社プラットフォームの外側で行われる不正取引をいかにして検知・執行するかという点にある。

英国FCA(金融行動監視機構)やIOSCO(国際証券監督者国際機構)なども国境を越えた協力や強力な市場監視の必要性を訴えている。この影響により、各取引所では上場データへの従業員アクセスの厳格化、関連デリバティブの監視体制の高度化など、コンプライアンスコストの増加とセキュリティ強化が急務となっている。

セキュリティや信頼性が取引所間の優劣を分ける重要な要素となる中、業界全体でより抜本的な対策が求められているのが現状だ。

 

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