米国下院委員会、デジタル資産の税制明確化法案を可決
米国下院歳入委員会は、デジタル資産に関する税制の枠組みを明確化するため、デジタル資産税確実化法案(H.R.10357)を賛成38票、反対5票の圧倒的な賛成多数で可決した。
これにより、同法案は下院本会議での審議へと進められることになる。今回の法案可決は、長年にわたり曖昧であった暗号資産分野の連邦税務ルールに明確な指針を与える歴史的な一歩として注目を集めている。
下院歳入委員会のジェイソン・スミス(Jason Smith)委員長によると、今回の法案は両党の議員による1年以上にわたる綿密な調査や意見聴取、協力を経て策定された。世界的に2兆ドル(約312兆円)を超える規模に成長したデジタル資産業界において、より確実で明確な税制を整備することは、関連企業や優秀な人材の海外流出を防ぐために不可欠であると強調されている。また、この法案にはギャンブル損失の控除規定を見直すFULL HOUSE法も組み込まれており、納税者にとってより公平な仕組み作りが図られている。
少額手数料の非課税化と取引関連の新たな規定
新たに承認された条文では、デジタル資産を利用した10ドル以下の適格なネットワーク手数料や取引手数料について、損益の認識を免除する規定が盛り込まれた。
これにより、日常的な少額の決済や検証における課税負担が軽減される。一方で、トレーダーやブローカー、大量の移転を行う納税者などは行政規則の対象外とされている。さらに、米ドル建てステーブルコインの取り扱いや、広く取引されるデジタル資産の簡素化された会計方法、さらには貸借契約に関するルールも明確化されており、納税者が追跡すべき記録や利益計算の方法に大きな影響を与える内容となっている。
ウォッシュセール規制の拡大とマイニング・ステーキングの扱い
不正防止および市場の公平性を保つための条項として、証券に適用されてきた「ウォッシュセール(損失確定のための売買)」の規則が、取引可能なデジタル資産へと拡大される。
これにより、損失を出して売却した暗号資産をすぐに買い戻すことで損失を計上する手法に制限がかかる。また、マイニングやステーキングを通じて得られる報酬については、資産の支配権を取得した時点で通常の所得として扱うことが確認されるとともに、投資信託に関する規定や自主開示プログラムの創設も盛り込まれ、過去の申告不備を是正する機会が設けられている。
上院における動向と今後の展望
下院で税制関連法案の審議が進む一方で、市場構造や規制のあり方を扱うCLARITY法案(H.R.3633)を巡る上院での審議は難航しています。上院では討論打ち切りの動議が否決され、現段階では法案可決に向けた動きが一時的に停滞する形となった。
このように上下両院の間で進捗(しんちょく)状況に違いは見られるものの、下院委員会を通過した税制明確化法案の動向は、今後の米国の暗号資産市場や投資家、関連企業にとって極めて重要な関心事となっている。
























