CLARITY法案が上院で49対50で否決、BTC急落で2026年内の規制法成立は絶望的か

CLARITY法案が上院で否決

米国のデジタル資産市場における包括的な規制枠組みの構築を目指して審議が進められてきたCLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act:デジタル資産市場明確化法)は、上院での手続き上の採決において賛成49票、反対50票という結果で否決された。

審議を正式に進めるために必要とされていた60票の壁を大きく下回ったことで、2026年内の法案成立は事実上困難な状況に直面。この予期せぬ結果は暗号資産業界に大きな衝撃を与え、市場全体に深刻な影響を及ぼす事態となっている。

膠着した交渉と法案を巡る対立の背景

この法案は、約2兆3,000億ドル(約356.9兆円)規模に成長した暗号資産市場に対し、デジタル資産や取引所の位置づけに関する連邦レベルの明確なルールを確立し、CFTC(商品先物取引委員会)とSEC(証券取引委員会)の間で監督権限を適切に分担させることを目的としていた。

今年5月には、上院銀行委員会で超党派による15対9の投票結果を経て可決・推進されていたため、当時は市場全体から大きな期待を集めていた。しかし、その後の最終的な詰めの段階において、深刻な対立点となったのが倫理的問題だ。特にドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の家族が関与する暗号資産関連プロジェクトやミームコインであるトランプコイン(Official Trump /TRUMP)、さらにはWLF(World Liberty Financial)などを巡る利益相反への懸念が強く意識された。民主党側は、公職者が暗号資産によって利益を得ることに対してより厳格な制限を課すよう強く要求している。

こうした懸念に対応するため、採決直前の日曜日深夜には、630ページに及ぶ大規模な修正案が公表された。この修正案では、州司法長官に暗号資産交換業者などを提訴して倫理規定を執行する権限を付与し、さらに公職者に対して「重大な経済的利害関係」の解消やブラインド・トラスト(白紙委任信託)への移管を義務付ける内容が盛り込まれていた。

しかし、民主党側は「司法省を通じた法的措置の実効性が担保されない」としてこの枠組みを拒絶。また、銀行業界団体がステーブルコインに対する利回り支払いの禁止条項を強く求めたことも、暗号資産企業との間の亀裂を深める要因となった。

日本語訳:
今週の議題は?上院共和党は、トランプ大統領が仮想通貨業界から私腹を肥やし続けることを可能にする仮想通貨法案を強行採決しようとしています。私たちは上院議場から…

民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員らは、法案がそのまま可決されれば「暗号資産に起因する経済崩壊」を招きかねないと激しく反対票を投じ、結果として法案は必要な賛成票を集められずに頓挫するに至った。

ビットコインの急落と市場への波及効果

法案の否決という結果は、直ちに暗号資産市場の売り圧力を加速させた。9月初旬には8万1,000ドル台を推移していたビットコインだが、採決の結果が明らかになるにつれて急落し、約10分間で7万5,600ドル近辺まで値を下げたのち、最終的には7万5,000ドルを割り込む展開となった。

さらに、イーサリアム(Ethereum/ETH)やXRPなどの主要なアルトコインもこれに追随して大きく下落し、コインベース(Coinbase)などの関連銘柄も売り浴びせられる結果となった。

特筆すべきは、今年5月に同法案が委員会を通過した際にはビットコインが8万2000ドルを超えて上昇したものの、今回の否決によってその好材料が完全に逆回転を始めた点です。市場参加者にとって規制の明確化という期待が絶たれたことは、大きな失望感をもたらしました。

さらに、ワシントンにおける政治的な動向だけでなく、マクロ経済環境の厳しさもビットコインの足かせとなっています。米国債利回りの上昇やインフレ懸念、さらには連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測や原油価格の高騰といった複合的な要因が同時に重なっており、暗号資産市場は現在、規制面の追い風を失った上で厳しい経済環境に対峙せざるを得ない状況にあります。

2026年以降の展望と規制の行方

中間選挙が迫り、議会の会期残日数も限られている中、今回の手続き上の否決によって、本法案の2026年内における成立の可能性は事実上消滅しました。シンシア・ルミス上院議員らが警告しているように、今会期中に法案が可決されない場合、次に現実的なチャンスが訪れるのは数年以上先になる恐れもあります。

今後は、議会主導の包括的な法整備が停滞したままで、暗号資産に対する規制の枠組み作りは証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)といった既存の規制当局の手に委ねられることになります。SECのポール・アトキンス委員長らが独自の規則策定を進める姿勢を示しているものの、法律が持つような恒久性や法的な強固さに欠ける点は否めず、業界は引き続き不透明な環境下での運営を強いられることになります。