破綻Celsius、ビットコイン暴落時の清算損失をめぐりBitMEXを4億9500万ドルで提訴

Celsius破産管財人がBitMEXを提訴

暗号資産レンディング大手のCelsius Network(セルシウス・ネットワーク)の破産管財人は、BitMEXを相手取り約4億9,500万ドル(約6,360ビットコイン)の損害賠償および資産返還を求める訴訟をニューヨーク州南部地区連邦破産裁判所に提起した。

Celsius は、2020年3月の暗号資産市場の歴史的な急落局面において、暗号資産取引所BitMEXが不適切な清算処理を行ったとして提訴。まもなく取引停止と事業終了を控えるBitMEXを舞台に、債権者保護に向けた新たな法的紛争が勃発する形となった。

BitMEXの清算処理とシステムの妥当性が争点に

本訴訟の核心となっているのは、2020年3月12日の新型コロナウイルス感染拡大に伴う市場混乱時に実施された、レバレッジ・ポジションの強制清算(リキデーション)の妥当性である。

訴状によると、同日深夜にBitMEXがCelsiusのビットコイン先物ポジションを決済したことで1,325.84 BTCが失われた。さらに、投資ファンドのJSTが保有していた5,034.33 BTCのポジションも翌日の清算で消失し、その請求権は後にCelsiusの破産財団へと譲渡された。これら合計6,360.17 BTCの損失について、原告側は現行の価格評価に基づき約4億9,500万ドル(約773.4億円)相当の返還を強く求めている。

Celsius側は、BitMEXがレバレッジ・ポジションをいつ強制決済するかを決定する仕組みを独占的に管理していた点を問題視。さらに、清算によって生じた資産を受け入れる保険基金もBitMEX側が管理していたことから、清算プロセスの運用に対して金銭的な利害関係を有していたと主張している。

訴状では、BitMEXが口座の債務を弁済するために必要な分量を超えて担保を売却し、ポジションを閉じた後も余剰分のビットコインを自らの管理下に置いたほか、プラットフォームの清算手順が意図的に設計されていたと指摘されている。

なお、これらの法的主張は現時点で法廷で立証されたものではなく、BitMEXの法的責任が確定したわけではない。

債権者にとっての新たな資産回収と時間との戦い

Celsiusによる今回の訴訟は、破産手続きを進める同社の債権者にとって新たな資産回収の取り組みの一環となる。

Celsiusは2022年7月に破産を申請した後、再建計画に基づき債権者への資産分配を進めてきたが、今回の訴訟を通じて得られる回収金が破産財団の資産をさらに増やす可能性がある。ただし、訴訟の提起が直ちに追加の支払いを保証するものではなく、解決に向けた具体的なスケジュールは不透明なままだ。

一方で、被告であるBitMEXにとっても本件は大きな試練となっている。同取引所は戦略的な見直しの一環として、9月23日をもって取引を停止し、すべての未決済ポジションを強制的にクローズして事業を終了する方針を発表していた。Celsius側による今回の訴訟は、その取引終了の直前というタイミングで提起されており、解散に向かう被告を追及するためには「時間」が極めて重要な要素となっている。過去に米当局との間でマネーロンダリング防止体制に関するコンプライアンス上の罰金問題などを抱えてきたBitMEXに対し、今回の巨額請求訴訟がどのような結末を迎えるのか、暗号資産市場全体から高い関心が寄せられている。