韓国銀行、ドル建てステーブルコインによる自国通貨圧迫のリスクを指摘

韓国銀行がドル建てステーブルコインのリスクを指摘

韓国銀行のキム・ジヒョン(金智賢:Kim Jihyun)氏とチョ・サンフム(조상흠:Cho Sangheum)氏による調査で、暗号資産取引所が法定通貨とドル連動型ステーブルコイン(USDTやUSDC)の直接取引ペアを導入すると、自国通貨に対して下落圧力が生じることが判明した。

研究チームは12種類の通貨を対象に、大手取引所Binance(バイナンス)での取引データを分析。その結果、市場の統合が進むことでデジタル資産需要と為替レートの連動性が高まる構造が浮き彫りになった。

仲介業者のヘッジ取引が「ショック伝播経路」に

通常、自国通貨でのステーブルコイン購入需要が高まると現地で価格プレミアム(割り増し分)が発生する。

Binance等で直接取引ペアが開設されると、グローバルなマーケットメーカーが投資家に直接ステーブルコインを販売できるようになる。その際、業者が手元に残った現地通貨のリスクを解消するため、従来のFX市場で「自国通貨売り・ドル買い」のヘッジ取引を実行する。このメカニズムが「ショック伝播経路」となり、暗号資産市場の需要が直接FX市場へ流れて通貨安を招く仕組みだ。

一方で、直接取引の開始に伴い現地の割高なプレミアムが0.33〜0.38%縮小し、価格の整合性が増す効果も確認されている。

韓国市場への影響とウォンの現状

韓国はBinance上にウォン(KRW)の直接取引ペアが存在しないため、現時点で為替レートへの直接的な下落圧力は統計的に観測されていない。韓国での強い需要は、主に国内市場のプレミアム上昇として吸収されている。

しかし、Chainalysis(チェイナリシス)のデータによると、2025年6月までの1年間でウォンによるステーブルコイン購入額は約640億ドル(約10兆円)に達しており、アジア太平洋地域で最大規模を記録している。今後、企業や海外投資家の参入が進み取引環境が変化すれば、韓国ウォンも同様のリスクに直面する可能性がある。

政策当局に求められる対応と将来像

中央銀行は、金融の安定を保つために銀行主導によるウォン裏付け型ステーブルコインの発行モデルを支持している。また、外国為替市場の流動性強化やウォンの国際的利用拡大を通じ、個別の需要ショックを吸収できる市場基盤の整備を提言した。

ステーブルコインの規制や市場設計はもはや暗号資産業界にとどまらず、自国通貨の安定性に直結する重要な政策課題となっている。

 

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