Cronosがネットワークを一時停止、7,500万ドル規模の「Tectonic」不正アクセス被害を受ける

7,500万ドル規模の不正アクセス被害を受けCronosがネットワークを一時停止

暗号資産取引所Crypto.com(クリプトドット.com)が開発を主導するL1(レイヤー1)ブロックチェーンCronos(クロノス)は2026年8月30日(日曜日)、同ネットワーク最大のDeFi(分散型金融)レンディングプロトコル「ectonic(テクトニック)における不正アクセス=エクスプロイトを検出し、チェーン全体の稼働を緊急停止した。

Cronos上のDeFi資金の大半を占めるプロトコルを狙ったこの攻撃により、約7,500万ドル(約120億円)規模の被害が発生したと見られている。

攻撃の手口:「Mangoスタイル」の価格操作と借入

オンチェーン・リサーチャーのリー・ウェイリン(Li Weilin)氏らの分析によると、今回の不正アクセスは2022年のMango Markets(マンゴー・マーケット)事件と類似したパンプ・アンド・ボロー(Pump-and-borrow=価格吊り上げ・借入)手法で行われた。

日本語訳:
TectonicFiが約 6,600 万ドルの被害を受けたようです! 根本原因は単純です: TONIC のガバナンス トークンは担保率が 20% で流動性が非常に低いです。攻撃者は Mango-market スタイルの…

具体的には、流動性が約134万ドル(約2億円)と極めて低かったTectonic(テクトニック)の独自トークン「TONIC」が標的となった。流動性が低いにもかかわらず、プロトコル側は担保率(LTV)を20%に設定していたため、攻撃者は20分間でTONIC価格を人為的に約100倍へ急騰させ、その吊り上がった評価額を担保に大量の暗号資産を不正に借り入れている。

DeFiLlama(ディーファイラマ)のデータによると、攻撃前には約1億2,100万ドル(約193.5億円)あったTectonicの預かり資産(TVL)は、わずか数日で約300万ドル(約4.8億円)にまで激減している。

7,500万ドルの被害と「凍結」された資産の行方

推定される被害総額は約7,500万ドルに上るが、その大部分はネットワーク内にとどまっている。

Cronosのバリデータ=検証者が迅速にブロック生成を停止したため、攻撃者がブリッジ機能を通じてイーサリアム(Ethereum)側へ送金・清算できたのは約600万〜629万ドル分(約9.6億円~10億円、2,592 ETH相当)にとどまった。残りの約6,800万〜6,900万ドル(約108.7億円~110億円)相当の資産は、停止中のCronosネットワーク上に固定・凍結された状態となっている。

なお、近年はMoonwell(ムーンウェル)やPendle(ペンドル)関連市場でも同様の低流動性トークンを狙った価格操作攻撃が相次いでおり、業界全体でオラクルや担保設計の脆弱性が課題視されている。

ユーザー資金への影響と取引所の安全確認

Crypto.comのクリス・マルザレク(Kris Marszalek)CEO(最高経営責任者)は、中央集権型取引所(Crypto.comアプリおよび取引所)はCronosチェーンとは独立して運用されているため影響を受けておらず、顧客の全資金は安全であると発表した。

日本語訳:
CronosのレンディングプロトコルであるTectonicにおいて、セキュリティ侵害が発生しました。CronosチームはCrypto.comのセキュリティチームの協力を得て調査を進めています。Crypto.com のアプリと…

一方で、Cronosチェーン上のユーザーには以下の影響が生じている

送金・取引の全面一時停止:ネットワーク停止措置に伴い、Cronos上の全てのトークン送受信、入出金、DEX取引が停止。
直接リスクを抱えるポジション:Tectonicで資産を貸し出していた、あるいは担保を預けていたユーザーは直接的な流出被害や清算リスクに直面。

再開時にユーザーが確認すべきポイント

CronosおよびTectonicチームは業界のセキュリティ機関と連携して調査を進めており、詳細な事後報告(ポストモーテム)と回収計画の策定を進めており、ネットワーク再開時にユーザーが確認すべき事項は以下の通りとなっている。

借入ポジション(LTV)の確認:急激な価格変動により、再開直後に予期せぬ自動清算が発生しないかローン状況を確認。
預け入れ残高の照合:Tectonicなどの保管庫(Vault)やプールに預けていた資産が被害対象に含まれていないか確認。
保留中トランザクションの追跡:ブロックエクスプローラーでウォレットアドレスを検索し、停止直前に送信した取引の処理状況(成功・失敗・保留)を確かめる。

 

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