FCAとHTXが違法仮想通貨プロモーションを巡り和解協議を開始
FCA(英国金融行動監視機構)と、大富豪ジャスティン・サン(Justin Sun)氏が主導する大手暗号資産取引所HTX(旧名称:Huobi)が、英国ユーザー向けの違法なマーケティング活動を巡る訴訟において、和解に向けた話し合いを進めていることが裁判資料から明らかになった。
今回の和解協議は、FCAが仮想通貨企業による英国消費者向けマーケティング手法を直接理由として提訴した初の事例だ。訴訟は2025年10月にロンドン高等裁判所へ提起され、2026年2月にその内容が公表された。FCAは、無許可での金融プロモーションを禁止する「金融サービス・市場法」第21条に違反したとして、差し止め命令等を要求。X、Telegram、YouTubeなど、主要SNSでの広範な広告展開に加え、不透明な運営体制や国際的リーチを利用した無許可営業を問題視している。
おとり調査で浮き彫りになった取引可能状態
HTX側は「英国向けサービスは提供していない」と主張していますが、FCA側は入念な実態調査を実施している。
FCAの調査員が英国のIPアドレスを使用し、英国の運転免許証で本人確認を行った上で、P2P(個人間)取引やデリバティブ(先物)取引を実行できることを実証。サイトが英ポンド(GBP)に対応し、実質的に英国居住者の利用を排除していない証拠を突き付けている。
複雑な組織構造と「身元不明の被告」
本訴訟の被告には、パナマ法人であるHuobi Global S.A.のほか、ドメインやSNSアカウントを管理する身元不明の人物(persons unknown)が含まれている。
HTXは複雑な企業構造の陰に隠れ、運営主体の特定を難しくしているとFCAは批判。2023年および2024年には同社を「未認可企業リスト」へ掲載し、アプリストア等からのアプリ削除も要請していた。
8月下旬まで手続き停止、和解への見通し
現在、両者の法廷闘争は一時中断。裁判記録によると、2026年3月からメールによる協議が始まり、6月には協議期間が延長された。高等裁判所は合意形成のための時間を確保するため、訴訟手続きを8月下旬まで一時停止している。
HTXの広報担当者は個別の訴訟内容への言及を避けつつも、「コンプライアンスや透明性、ユーザー保護を重視し、規制当局と協力していく」とコメント。仮想通貨業界における国際的なプロモーション規制の重要な先例として、今後の和解条件の行方が注目される。
























