日本の暗号資産法案が可決:20%課税とETF解禁へ前進、インサイダー規制も強化

暗号資産関連の法改正案が参議院で可決

日本国内における暗号資産市場が歴史的な転換期を迎え、政府が推進してきた暗号資産関連の金融商品取引法および決済サービス法の改正案が参議院で可決された。

今回の法改正は、これまで“決済手段”として扱われてきた暗号資産を“金融商品”へと再分類し、証券法と同様の監督下に置くものとなっている。これにより、長年要望の多かった税制改革やETF(上場投資信託)の解禁への道が開かれる一方、市場の健全化に向けたインサイダー取引の取り締まりが大幅に強化される。

証券法への移行とインサイダー規制の徹底

新法案の最大の特徴は、暗号資産の法的な位置づけの見直しで、約105種類におよぶデジタル資産が金融商品取引法の適用対象となり、取引所の呼称も「暗号資産取引業者」へと変更される。

また、市場の透明性を高めるため、特定のトークン発行体には年次開示が義務付けられる。さらに、市場の公正性を揺るがすインサイダー取引(※重要な未公開情報を得た人物が、情報公開前にトークンを売買し、不当な利益を得る行為)への規制が初めて本格導入される。新規事業や上場・上場廃止に関する未開示情報をもとにした不正取引は厳しく禁止され、SESC(証券取引監視委員会)による調査権限や行政罰金制度が整備された。

悪質な無登録営業や不正行為に対する罰則も大幅に強化され、従来の最高懲役3年/罰金300万円から最高懲役10年/罰金1000万円へと引き上げられる。

20%分離課税への税制改革と投資家への恩恵

投資家にとって最大の関心事は、税制の大幅な見直しであり、現在、暗号資産の利益は雑所得として最大55%の総合課税が課されているが、これが株式などと同様の20%の均一税率(分離課税)へと引き下げられる提案が盛り込まれた。

さらに、国内の公認取引所に上場する資産を対象に、損失を3年間繰り越せる「申告分離課税」の仕組みも導入される。この税制変更は2027年度の改正証券法施行を経て、2028年1月1日からの発効を目指している。ただし、ステーキング報酬やDeFi(分散型金融)の利回り、NFT(非代替性トークン)、海外取引所での取引などは引き続き最大55%の雑所得として扱われる見通しで、二重の課税構造が生じる点には注意が必要だ。

暗号資産ETFの解禁と市場の二極化

今回の法的基盤の確立により、日本国内におけるビットコイン(Bitcoin/BTC)などの暗号資産ETF(上場投資信託)の上場に向けた動きが本格化する。

日本取引所グループは2027年頃の上場を検討しており、SBI証券や楽天証券、野村ホールディングスといった大手金融機関もすでに暗号資産関連商品の開発や販売の準備を開始。証券会社や信託銀行、保険会社などの機関投資家が直接市場に参入できるようになるため、国内の資金流入が加速すると期待されている。

一方で、規制強化に伴うコンプライアンスコストの増大は、業界の再編を促す可能性があり、専門家は、国内に存在する登録取引所の約半数が、新たな運用コストに耐えかねて閉鎖を余儀なくされる可能性を指摘している。

片山さつき財務大臣が「金融改革の年」と位置づける中、今後1年間で準備預金要件やデリバティブのレバレッジ制限、マネーロンダリング(資金洗浄)対策といった具体的な監督ガイドラインが策定される予定だ。日本は今、強固な投資家保護と市場拡大を両立する新たなデジタル金融の先進国へと歩みを進めている。

 

ABOUTこの記事をかいた人

NEXT MONEY運営です。 「話題性・独自性・健全性」をモットーに情報発信しています。 読者の皆様が本当に望んでいる情報を 日々リサーチし「痒いところに手が届く」 そんなメディアを目指しています。