米国上院議員が中国のデジタル人民元を対象とした法案を提出
リック・スコット(Rick Scott)上院議員は、米国の金融サービス事業者が中国のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)デジタル人民元(e-CNY)とやりとりすることを禁止することを目的とした禁止法案を提出した事が分かった。
いわゆる中国CBDC禁止法案は、米国の郵便局、送金会社、P2P(ピアツーピア)クラウドファンディングプラットフォーム、およびすべての金融サービス事業が中国のデジタル人民元に関わるあらゆる取引を促進することを禁止するものである。テネシー州のマーシャ・ブラックバーン(Marsha Blackburn)上院議員とテキサス州のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員は、この法案を支持し、米国の金融データを安全に保つために不可欠であると強調しており、ブラックバーン上院議員は次のように語っている。
私たちは米国民が経済的に保護されるよう全力を尽くすべきです。この法律は常識です。米国の金融サービスは、中国共産党のデジタル人民元に関係する取引に従事すべきではありません。
下院議員も同法案を支持して規制制定に向けて提出
ミズーリ州選出のブレイン・ルトケマイヤー(Blaine Luetkemeyer)下院議員もスコット上院議員の法案を下院に提案した。
この法案は、仮想通貨に関する話題増加と、新興デジタル資産業界向けの規制枠組みの制定に向けた米国の取り組みの中で提出されたものだ。テッド・バッド(Ted Budd)上院議員の「コイン保管法」など、立法府で仮想通貨関連法案がいくつか提案されているが、ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)CEO(最高経営責任者)は、決定的な投票は2024年の米国選挙後まで延期されると予想している。
2022年1月に発足した中国のデジタル人民元は、ブロックチェーン技術に基づいて構築された世界初のCBDCの1つである。政府発行デジタル通貨は、試験運用から18カ月以内に取引額2,500億ドルに達し、中国東部の各省の公務員の支払い経路として導入された。
北京のCBDCは、WeChat運営会社テンセントによって中小企業を対象とした信用制度として商業化された。中国によるビットコインの全面禁止は本記事執筆時点では実施されていたが、同国はメタバースなどのWeb3分野に対する規制上の関心も示している。